日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

           

本田哲也のGlobal Topics

「これが、世界を動かすPR会社だ!!」PRWeekがグローバルPR会社ランキング発表

本田哲也

グローバルPR会社ランキング
「GLOBAL AGENCY BUSINESS REPORT 2016」より(単位:千ドル)
出典:『PRWeek』Global Agency Rankings 2016

今年もグローバルPR会社の最新世界ランキングが発表された。本コラムでは毎年恒例となりつつあるが、今回はこれを紹介しよう。最新の2016年版を発表したのは、世界有数の業界メディアである「PRWeek」。発行元のHaymarket Media社は、イギリス、アメリカ、香港を主要拠点に、世界的に展開。グローバルPR業界の権威とも言えるメディアだ。

さっそく、ランキングを見てみよう。世界1位は独立系のエデルマン(米国)で、2015年のレベニュー(売上高総利益)は約940億円。続く2位が、オリンピック招致の実績で有名なウェーバー・シャンドウィック(米国・インターパブリックグループ)で約810億円。3位に僕たちブルーカレントも属しているフライシュマン・ヒラード(米国・オムニコムグループ)で約630億円。これが、世界ベスト3のPR会社だ。この3社は4位以下に差をつける不動のトップ3と言えるだろう。従業員数で3000人から5000人規模といったところだ。

4位以下を見てみよう。外資系PR会社として日本でも著名なバーソン・マーステラやヒル アンド ノウルトン、オグルヴィPRなどが続き、そのほとんどが米国勢。規模的には2000人から3000人だ。そして10位に、中国のブルーフォーカス。昨年、アジアのPR会社として初めてトップ10入りした同社だが、その勢いはまだまだ続いているようだ。2015年も37%成長を達成し、9位のブランズウィック(英国)に肉迫してきた。

さて、今年注目したいのが、PR業界全体の成長率だ。PRWeek誌によれば、世界トップ50社の2015年の成長率は4%で、2014年の8%から半減する結果となった。つまり、成長スピードが鈍化してしまった1年だったというわけだ。ランキング表を見ても分かるように、トップ7の成長率はいまひとつパッとしない。世界的にPRへの注目とニーズは上がっているはずなのに、これはどういうことなのか?─これについては、どうやら業界全体が、ある種の「踊り場」に突入したという見方が強い。世界的に、いわゆる「手法」のインテグレーションが進み、各エージェンシーの枠を超えたワンストップのサービスが求められる中、各社の試行錯誤が影響を与えた悩ましい1年だったというわけだ。18%成長を遂げた8位のオグルヴィPRの好調の理由は、他のエージェンシーに比べて広告・デジタル・PRのインテグレーションがグループ内で進んでいることもあるだろう。もっとも、「踊り場」の先には常に新たな階段が出現するもの。2016年にその一歩が踏み出せることを願って─ではまた来月!

本田哲也(ほんだ・てつや) 

ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長/米フライシュマン・ヒラード上級副社長兼シニアパートナー/戦略PRプランナー。主な著書に『最新 戦略PR 入門編/実践編』(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)、共著に『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

無料で読める『本日の記事』をメールでお届けいたします。
必要なメルマガをチェックするだけの簡単登録です。

お得なセットプランへの申込みはこちら

本田哲也のGlobal Topics の記事一覧

「これが、世界を動かすPR会社だ!!」PRWeekがグローバルPR会社ランキング発表(この記事です)
韓流PRの意外な「お得意さま」とは? 若者を動かした「反喫煙キャンペーン2015」
世界最大級のPRグループ「オムニコムPRグループ」の創設を発表 カレン・ヴァン・バーゲンCEOにインタビュー
中国人ランナーは走るべき?走らざるべき?ナイキ「Saving Runners From Death」キャンペーン
グローバルPR会社のアジア統括責任者に聞いた 「2016年、アジアのPRはどうなる?」

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する