リスナーとの信頼関係をベースとするラジオは、影響力の強いメディアでもある。その波及効果から、番組内で商品が紹介されると売上につながることも。今回は在京5局の番組制作者、パーソナリティらにその裏側を明かしてもらった。
『くにまるジャパン』
文化放送
中年オヤジの関心に応える
文化放送『くにまるジャパン』はメインパーソナリティ・野村邦丸さんの視点で、今の“ジャパン”を様々な角度から発信する情報ワイド番組。「ターゲットは野村と同じ50代、会社なら管理職の層を中心に、中年オヤジの飲食など、その層の関心ごとを扱います」と制作部次長の小倉研一氏は語る。野村さん自身が涙もろい人情家なので、人が頑張る姿やチームワークの話などが取り上げられやすいそうだ。
仕事を通じて社会に一石を投じるゲストに話を聞く「アクティビスト・ジャパン」(火曜)では、「世界一清潔な空港」の実現に貢献した日本空港テクノの社員や、365日24時間体制で番組のロケ受け入れ支援を行う熱海市役所観光課担当者なども出演している。書籍情報であれば、月曜日の「本屋さんへ行こう」や「新発見・再発見○○○○塾」にも著者や編集者が登場する。
毎日、企業情報だけでも20通以上は寄せられるというなか、どのような基準で情報を選定するのだろうか。「まずは野村や同世代の関心ごとにフィットしているかどうかですね」と小倉氏は語る。その上で、例えば書籍なら「本の内容以外に『著者はこんなおもしろい話ができますよ』といった話の提案があると検討しやすいです」と教えてくれた。ラジオなので、「話だけで伝わる内容が望ましい」というのも納得だ。
また、かつて一人暮らしのシニア向けおしゃべり人形の情報が送られてきたことも。プレスリリースだけを読むと、少々価格が高くて疑問も感じたが、送られてきた現物を触ってみたら「リスナーに伝える価値がある」と感じ、取り上げたこともあった。
野村さんが現場レポートに赴く「くにまるジャパン探訪」(金曜)では崎陽軒の横浜工場を訪れたこともある。これは、「シウマイ弁当」が大好物ということから実現したそうだ。実際に取り上げる情報で企業などから寄せられたものは多くて1割程度だが …