PR会社のスキルを見極める「1次選考」のコツとは?
自社に適したパートナーを見つけるために、押さえておきたいポイントとは?PR会社出身で、現在は企業の広報担当役員を務める筆者が解説します。
パートナーとの仕事を始めるにあたり欠かせないのが、発注者からのブリーフィング。消費財ブランド大手でコミュニケーションを統括してきたベッシャー・アルセニ氏がレクチャーします。
はじめまして、鼈舎(ベッシャー)です。神戸生まれの日本育ち、日本国籍です。両親は白系(はっけい)ロシアの難民でした。なので自分はロシア系日本人だと思っています。高校から渡米し大学卒業後、日本で10年間働きました。その後、再度米国留学を経て2007年から日本コカ・コーラ社で、各飲料ブランドの総合コミュニケーション、オリンピックのプランニングなどを担当しました。担当領域は広く、広報全般や社会貢献事業などの仕事にも携わりました。そして今年3月からグリーでコーポレートコミュニケーション部長を務めています。
振り返ってみて、「コミュニケーションのプロ」として生きてきた証を残せたと思うのは、アーティストの方々と協働し、ブランディングされた音楽、小説、イベントなどをプロデュースしたことです。また、多くのテレビ局と、コンテンツマーケティングなどの前衛的な手法で番組制作などができたことですね。今回はそんな経験から、「広報・PRとは何だろう?」という視点と「パートナーと現場で仕事を進めていくためのポイント」をお伝えしていきます。
一般的に「広告」とは「媒体枠を購入して商品・サービスや企業の宣伝を行うもの」、「広報」とは「媒体に商品や企業活動を情報として取り上げてもらうこと」と定義されています。英語のPublic Relationsは戦略的な意味合いが強く、信頼や理解を得るための情報拡散・収集活動と称されることが多いです。
いずれにせよ、僕はこのような区分が嫌いですし、時代遅れだと思います。それらすべてを「コミュニケーション」として定義し直して、様々な媒体(Owned, Earned, Shared, Paid)を駆使し、最適な方法で伝えるのが広報であり、広告であり、コミュニケーションの基本です。製品やサービスはもちろん、企業ブランディングもそうだと思います。
「マーケティングはここからここまで」「広告はこれ、広報はこうだ」という考え方では何かを伝え、達成することは十分にできません。一人でできることは限られているので、コミュニケーション企画やコンテンツ制作には優秀なパートナーの存在が不可欠です。企業であればなおさらでしょう。得意な分野、手段などを選別して、プロをパートナーとして巻き込むことが重要です。
時にはしっかりと報酬を用意し、時には「とにかく軌道に乗るまで信じて、手伝ってほしい。今は予算がないんだけど……」とお願いする意気込みが必要です。そうすると、おのずとコミュニケーションに必要なのは単なる「広告会社」「PR会社」「制作会社」など、限定された存在ではなくなります。
広告会社やPR会社の先にいる、クリエイターやアーティストもパートナーです。一緒に最善のコミュニケーションについて悩み、考え、その目標の実現まで取り組んでこそ、真のパートナーになり得るのではないでしょうか。
「プロジェクトの成功にはブリーフセッションが必要」
マジックはストーリーテリングです。仕事柄、企業の宣伝や広報、イベントなどでコラボレーションすることもよくありますが、お互いが納得するストーリーを伝えるために密接なコミュニケーションが必要です。ベッシャーさんとこれまで、大型の3Dマジックイベントや、ブランデッドコンテンツの番組で協働しましたが、どの仕事も必ず、直接彼から受けるブリーフセッションで始まります。プロジェクトの目的や、背景、達成すべき事項、予算や納品スケジュールを明確に伝えてくれます。そこでのクリエイティブなブレーンストーミングがプロジェクトの成功の基礎になります。
読者の皆さんの中には、過去に広告会社やイベント会社などパートナーと …