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メディアの論調は変えられる

沿線価値向上に挑む京急のグループ広報 「品川・羽田」イメージの定着へ

京急電鉄

品川、そして羽田という二つの玄関口を沿線上に持つ京急電鉄。「品川・羽田の持つ高いポテンシャルの活用」をコンセプトに、インバウンド需要を捉えた多角的なグループ広報を展開している。

パブリシティ×プロモーションで「5周年」のPRを最大化

2015年10月21日、羽田空港国際線ターミナル駅の開業5周年セレモニー。

2月29日から3月25日まで熊本市とタイアップした列車も登場。

年間およそ250本─これは京急グループが1年間で配信するプレスリリースの数だ。「グループ全体の情報を一元管理しているとはいえ、ちょっと多いですよね(笑)。本当はもっと量より質で勝負したいんです」と話すのは、グループ広報を担う京急電鉄 総務部広報課の課長補佐・松木一郎氏だ。

現在、広報活動の中で最も力を入れているのが「日本の玄関口・羽田と東京・品川を結んでいる」という沿線イメージの定着だ。京急といえば東京から神奈川県の三浦半島方面を結ぶ路線というイメージが強かったが、2010年には羽田空港の国際線ターミナルが開業し国際線が定期運航。京急でも新たにターミナル駅を開業したのを受け、2013年にグループの長期ビジョンとして「品川・羽田を玄関口として、国内外の多くの人々が集う、豊かな沿線を目指す」と宣言した。

広報課のメンバーは17人。最大の特徴は、事業が多岐にわたる京急グループのグループ広報も担当すること。そこで、「攻め」と「守り」のバランスを重視した体制づくりが必要となる。松木氏がマスコミ対応や危機管理など広報業務を管轄する一方で、広報課・課長補佐の木村めぐみ氏が宣伝・プロモーション業務を手がけてきた。

「鉄道だけでなく、バスやタクシー、住宅、商業施設などグループにはあらゆる事業がある。だからこそ、危機管理や日ごろのマスコミとのお付き合いは広報にとって最重点項目です。一方で、宣伝チームを中心に沿線・エリアを越えた地方自治体とのプロモーションや他社とのコラボレーション企画にも力を入れている。互いに連携しながら、記者が取材したくなるような報道発表イベントを企画する機会が増えました」と松木氏は説明する。

「10月21日に記念式典」の理由

現在のような体制が整ったのは、約5年前。パブリシティとプロモーションの効果を最大化させるのが目的といい、木村氏は「一定の投資が必要なプロモーション企画だからこそ、パブリシティにつながる切り口やタイミングの設定が重要」と話す。

その好例のひとつが、2015年10月21日に開催した羽田空港国際線ターミナル駅の開業5周年を記念したセレモニーだ。「当日は開業5周年の日であるとともに、日本政府観光局(JNTO)が同年9月の訪日外客数を発表する日。そのタイミングに合わせて式典を開催することで、インバウンド需要に関する話題とセットで報じてもらいたいという狙いがありました」と木村氏は明かす。

さらに「駅ナカに出店する3社(セブン-イレブン・ジャパン、ラオックス、マツモトキヨシ)と京急のトップが式典に参加」「商業施設の新ブランド立ち上げ」といった経済メディア向けの切り口だけでなく、「駅メロに人気グループ・SEKAI NO OWARIの楽曲を採用」という話題を投入。芸能・エンタメなどにも報道陣の幅を広げようと、この日に合わせてプロモーションチームで駅メロの企画も進めて立体的に組みあげていった(ちなみにSEKAI NOOWARIは、京急空港線沿線にゆかりがある)。

その結果、テレビ10番組、新聞7本、多数のネットメディアなどの掲載が実現。いずれもインバウンド需要への関心の高まりを受け ...

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