日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

元報道記者の弁護士が提言 メディアの動きを先読みする広報になる!

クライシス発生!広報と法務の連携体制で メディアの動きを「先読み」するには?

鈴木悠介(西村あさひ法律事務所・元TBSテレビ記者)

テレビ局報道記者出身の弁護士が法務とメディア、相互の視点から特に不祥事発生時の取材対応の問題点と解決策を提言します。

図1 広報と法務のよくあるすれ違い
朝刊の一面を見てみると、驚くような記事が……。記者会見の前日に行われた法務による社内調査結果の報告を思い出してみても、法務担当者は「添加物Y」使用の事実について一切広報に報告していなかった。



「放送から法曹へ」。これは、筆者が自らの経歴を紹介する際のキャッチフレーズです。筆者は、かつて在京キー局の報道局で2年間、日夜、事件・事故を取材する記者として数多くの企業によるメディア対応を見てきました。もちろん、その中には成功例も失敗例もあります。それから一転、筆者は現在、企業法務を中心とする大規模法律事務所において、企業不祥事が発生した際の事実調査や、その後の当局対応・訴訟対応を行っています。

広報と法務は相互不信?

消費者や株主など多くの利害関係者を相手にする企業法務においては、メディア対応の成否が案件の成否を大きく左右しかねません。そのため、案件を進める中で、メディア対応についての助言を求められることも多くあります。立ち位置こそ異なるものの、弁護士としての現在の仕事もメディア対応とは切っても切り離せない関係にあります。一見すると関係が薄そうな「放送(記者)」と「法曹(弁護士)」の仕事ですが、両者には「広報」という共通項があることを実感しています。

さて、図1で紹介したエピソードは仮の設定ではあるものの、似たような事例を私はこれまでに何度か目にしたことがあります。こうした失敗の直接的な原因は、法務が広報に対して開示すべき社内調査結果に係る情報を共有しなかったことにあります。本件で言えば「既に製造は中止しているし、健康被害も生じていないから、わざわざ公表しなくてもいいだろう」という甘い考えがあったと推察されます。

このような事態にまで至った会社においては、法務と広報の連携がうまくいっていないというより、法務と広報が相互不信に陥っていることも多いようです。法務の目には広報は「いつも喋りすぎ」と映り、広報の目には法務は「いつも喋らなさすぎ」と映るようで、こうした考え方の根本的な違いが相互不信の根幹にあるのかもしれません。

広報担当者の皆さんは良い広報を実現するため、メディア関係者との関係構築に時間を割いています。一方で、同じ社内の組織にもかかわらず、広報担当者が日ごろから法務部門とのコミュニケーションに時間を割いているという話はあまり聞きません。しかしながら、広報と法務の連携が上手くいかないと最悪の場合、図1で紹介したような法務の独断専行による失敗を招くことになります。逆に、広報が記者会見における想定Q&Aについてリーガルチェックを実施しなかったために名誉毀損を理由に会社が訴えられるといった、広報の独断専行による失敗を招いたりすることもあるでしょう。

法務担当者には広報の重要性を理解してもらうと同時に ...

あと64%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する