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リスク広報最前線

公表怠った親会社の責任は?杭打ち偽装の広報対応

浅見隆行(弁護士)

近年さらに複雑化する企業リスクに、広報はどう立ち向かうべきか。企業のリスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新の企業リスク事例を踏まえて解説する。

業界大手の不祥事に不信感が高まる 旭化成建材、三井不動産レジデンシャルなど、業界大手の不祥事発覚は大きなインパクトを与えた。本誌が11月、ネットユーザー500人を対象に実施した調査でも2015年で印象に残った不祥事ナンバー1にランクイン。「一生の買い物なのに許せない」といった声が多数寄せられた。

発覚後1カ月近く会見せず

三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市内の12階建てマンションが傾いた原因は、下請業者の旭化成建材が杭打ちデータを改ざんし、杭が支持層まで到達していなかったからではないかと報じられました。

販売主である三井不動産レジデンシャルは2015年10月、住民説明会を実施しましたが、報道関係者を対象とした記者会見やレクチャーは行いませんでした。その一方で、データを改ざんした旭化成建材は同16日の説明会には社長が出席し、同日夜に社長が囲み取材で謝罪会見を行いました。また、同20日には、旭化成建材の社長が親会社である旭化成の社長とともに記者会見を行いました。

判明直後の公表は社会的責任

報道によると、旭化成建材と旭化成が原因調査の過程でデータ改ざんを把握したのは9月24日。両社が原因を把握してから記者会見を行うまでに1カ月近く要しています。記者会見までにこれだけ時間をかけてしまっては、旭化成建材および親会社の旭化成は、建設業者としての社会的責任を尽くしたとは言いきれません。

旭化成建材の責任について語る上で、参考にしたい裁判例があります。無認可添加物を肉まんの製造に使用している事実を認識したまま使用を止めることなく、製品回収もしなかった食品会社の取締役が、法的責任を問われた裁判例です。

この裁判例は、「(無認可添加物の)混入が判明した時点で、食品会社はただちに……その事実を消費者に公表するなどして販売済み商品の回収に努めるべき社会的な責任があった」と、公表の時期を「判明した時点で……ただちに」と明言しました。

この裁判例に照らしてみると …

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