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次代のPRパーソン(PR)

博報堂 財田恵里さん「企画段階からクライアントとPRの種をまく」

博報堂 財田恵里(最終回)

主要なPR会社の現場で奮闘する若手・中堅のPRパーソンに、現場の仕事や今後のPRのあり方について聞く。

いまのPR業界を語る上で欠かすことのできないプロフェッショナルを数多く輩出してきた、博報堂のPR戦略局。いわゆるPR会社ではなく、広告会社の中にある専門部隊として、幅広く、大小様々なクライアントの課題を解決してきた。そんな同部署で活躍しているのが、入社6年目の財田恵里氏だ。

以前は営業局に所属していたという財田氏。同局に移ってからは1年ほどになり、現在は危機管理など「守り」のPRよりも、プロモーションを中心とした「攻め」のPRを主に担当している。

「PR戦略局の仕事の仕方には2つの種類があります。ひとつは、いろいろな提案材料やクリエイティブが決まった上で、最後にPR戦略局に声がかかるというパターン。この場合は、プロジェクトメンバーの中にPRスタッフとして入り、PR会社の方々と『この施策をどう広げていくか』について検討します。もうひとつは、クライアントとPR戦略局の関係がもっと近く、私たちがイベント施策など企業の取り組みをつくるもっと前の段階からプロジェクトの中に入り込むケースです。件数としては前者の方が多いのですが、私はいま後者のパターンの仕事に非常にやりがいを感じています」。

例えば財田氏が担当するあるクライアントとの仕事では、週に3回の定例会議を開く。その都度、いまの社会トレンドを共有し、イベントやキャンペーン設計をする前段階からどのような切り口やネタがあればメディアに取り上げられやすいかをクライアントと一丸となって模索するのだ。「プロジェクトがスタートした段階から、少しずつPRのフックになるような種をまいておくんです。そうすることで、いざメディアにアプローチをする段階まで来たときに、より戦略的に情報を提供することができるようになります」。

通常は、広告会社が提案するクリエイティブなどは営業を通してクライアントとのやり取りを行うものだが、こうしたケースでは、クライアントの広報担当者と直接やり取りすることが多いという。そのため、クライアントとの信頼関係を構築しやすい。

そんな財田氏の次の目標は、企業全体のブランディングを実現するPRに携わること。「そのためにも、自分が担当する商品や、関係する部署だけではなく、クライアントの理念や事業そのものを常に学ぶ必要があると思っています。クライアントは他にどんな商品を売ろうとしているのか、会社全体で抱えている問題は何なのか、もっと広い視野でクライアントを見つめることで、情報を出すタイミングを見誤らず、効果を最大化できるPRができるようになると思います」。

PRパーソンとしてのキャリアを重ね、いずれはコーポレートコミュニケーションや危機管理といった領域にも挑戦するのが目下の目標だ。

博報堂 PR戦略局 総合プラニング二部 PRプラナー
財田恵里氏(たからだ・えり)

大学時代に統計学を専攻し、2010年に博報堂へ入社。営業として企業の調査業務・商品開発業務を担当し、2014年の定期異動のタイミングでPR戦略局へ異動。主にプロモーションを中心としたPRを行う。
企業DATA
企業名 博報堂 PR戦略局
所在地 東京都港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー
局 長 岩本 晃
沿 革 博報堂の自社広報とクライアント企業のPR業務を請け負う部門として1958年に博報堂「広報課」として設置。現在はPRの専門局として、ジャンルを問わず多様なクライアントの企業広報、PR戦略を一手に引き受ける。嶋浩一郎氏ら多くのプロフェッショナルを輩出している。

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