広子の勤める会社は、上場して、約1年。会社の業容も順調に拡大し、株価も堅調に推移している。IR担当の立場からは、申し分ない状況である。そんな堅調な株価推移を背景に、機関投資家がアプローチしてきたようだ。
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機関投資家との対話

時価総額100億円が目安
広子▶こんにちは。少し、電話でお話ししましたが、機関投資家のA社が当社にコンタクトしてきて、社長との個別ミーティングをしたいと。
大森▶株価も堅調に推移しているからね。そろそろ機関投資家さんの目も意識するころだろうとは思っていたよ。
広子▶どうしてですか?上場直後は問い合わせも少しありましたが、その後は特に何もなかったのですが。
大森▶時価総額が100億円に近くなってきたから、ということだろうね。
広子▶注目されてきた、というのは分かりますが、なんで100億円?
大森▶各機関投資家はそれぞれ投資ルールを持っている。例えば、ファンドに組み入れる銘柄の選別基準であるとか、組み入れてよい比重、分散の度合いなど。すると、管理コストとの見合いもあって、一銘柄当たりのロットがおおよそ、決まってくる。そのロットが無理なく売買できる流動性がある銘柄しか、組み入れられないことになる。
広子▶その目安が100億円なんですね。普通、時価総額が大きな会社は、流通株式単位も多くて、日々の出来高、売買代金も大きいことが多いですものね。
大森▶そういうことだね。投資対象となる流動性、時価総額に近づいてきて、バイサイド・アナリスト*1が企業の事業内容、業界でのファンダメンタルな部分を調査し …
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