2015年11月に中間決算として過去最高益を更新した西武ホールディングス(HD)。西武グループの再起をかけて、後藤高志社長が注力してきたのが全職員とのビジョン共有だ。社員のマインドを変え、組織を生まれ変わらせる─。推進役を担ったのが広報部門だった。

(中央)西武ホールディングス 代表取締役社長 後藤高志氏(ごとう・たかし)
1972年第一勧業銀行に入行、2004年みずほコーポレート銀行副頭取に就任。05年メインバンクとしていた西武グループを再建するため、西武鉄道代表取締役社長、06年西武HD代表取締役社長。好きな言葉は「朝のこない、夜はない」。東大ラグビー部時代のポジションはウイング。
埼玉県所沢市の本社にて、広報部のメンバーと撮影。
企業再生の「立役者」
2014年4月、東証一部に上場した西武ホールディングス(HD)。2015年11月に発表された9月中間連結決算は、インバウンド(訪日観光)需要の伸びを最大限享受したプリンスホテルや西武鉄道の業績が好調。営業利益は前年同期比35.3%増の381億円と、中間期としての過去最高益を4期連続で更新した。2016年夏には、一大プロジェクトであるグランドプリンスホテル赤坂跡地の複合施設「東京ガーデンテラス紀尾井町」のオープンも控えており、2020年の東京五輪に向け日本の観光産業の牽引役を目指す。
同グループを率いるのが、後藤高志社長だ。西武鉄道が有価証券報告書虚偽記載をはじめとした度重なる不祥事で社会的な信用を失い、上場廃止にまで追いやられていた2005年に改革役を託されて、西武鉄道社長に就任。2006年には、グループ再編により持株会社制に移行した西武HD社長に就任した。東日本大震災での観光需要の冷え込みも乗り越え、2014年4月には9年ぶりの上場を果たすまでに同グループを成長軌道に乗せた立役者だ。
立て直しに当たり、後藤社長が最も重視したのが、西武グループが向かう方向性について記した「グループビジョン」だ。「でかける人を、ほほえむ人へ。」をスローガンとして掲げ …