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2015年のヒットに学ぶ 商品PRのノウハウ

北米販売が好調のスバル 「ネクストストーリー推進室」が生まれた理由

富士重工業

PRのアイデア(1)
SNSで告知、初のユーザー招待

10月6日の新車種発表会と体感試乗会。ユーザーを招待するのは初の試みで、SNSなどで告知すると30組招待の枠に600組の応募があった。

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トークセッションでは広報部長・岡田貴浩氏(右)とスタイリストの平健一氏が登壇。


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オフロードでの試乗イベントの様子。

「人生を愉しむ人」を応援

北米販売の好調により、2015年9月中間決算で過去最高益を記録した富士重工業。2015年10月6日には、東京・昭島市にある商業施設「モリパーク アウトドアヴィレッジ」にて、報道関係者と一般ユーザーを招いた体感試乗会「アクティブライフプレゼンテーション」を開催した。

「新型車発表時に、しかもオフロードで一般向けに試乗会を開くのは、ありそうでなかった企画。都市型SUVの需要が高まる中、スバルらしい本格SUVの走行性能を感じていただくのが狙いです」と説明するのは広報部長の岡田貴浩氏だ。自身もアウトドアブランドのアイテムを身に着け、トークショーに出演した。

会場には35媒体の報道陣が参加し「フォレスター」「SUBARU XV」の新型車種をお披露目したほか、事前にSNSや特設サイトで公募したユーザー50人超を招待した。オフロードコースで安全性や走破性といった性能を体感できる貴重な機会とあって、30組の募集枠に対し600組以上の応募があった。

同社では今年度から、新組織「スバルネクストストーリー推進室」を中心に、お客さまの趣味や好奇心を応援するイベント「アクティブライフ応援活動」をスタート。ゴルフやモータースポーツ、スキー・スノーボード、工場見学ツアーなどユーザー参加型プログラムの運営を強化しており、今回のイベントはその一環となる。

ちなみに「アクティブライフ」の由来は、富士重工業の社内でスバルユーザーの個性を表現する際に使われる「ライフアクティブ」というキーワードにある。「ライフアクティブな人」とは「人生を積極的に愉しもうとする意欲が高い人」を意味しており、アウトドアやスポーツの趣味に限定しているわけではない。ここから「アクティブライフを応援する」という新たなコミュニケーション活動のコンセプトが生まれた。

PRのアイデア(2)
走破性と安全性を体験

発表会後にはユーザーの試乗プログラムも用意。最大傾斜約27度の山道、深い水たまりなどオフロード走行できるのは貴重な経験。会場ではSNS用のハッシュタグや写真撮影用のアイテムも提供し、口コミ拡散を後押し。

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広報・宣伝の連携体制を構築

岡田氏は現在、広報部長とスバルネクストストーリー推進室の担当部長を兼務している。さらに宣伝を担当するマーケティング推進部長の上野修氏も同推進室の担当部長を兼務し、活動のスタートにあたっては広報と宣伝の連携を強化したのも新しい動きだろう。

その背景には、お客さまとのコミュニケーション活動に対する方針の変化がある。従来から各部署で同様のプログラムやスポーツイベントへの協賛を行ってきたが、管轄は宣伝・販促の部門が中心。その目的の多くは試乗による新規顧客の獲得だった。

「一方で、いま重視しているのは、スバルユーザーやファンの満足度を高めるコミュニケーション。最終的なゴールは、既存ユーザーに『スバルってなんかいいよね』と思ってもらうこと。販売にすぐ直結しなくても良いというスタンスなので、費用対効果を問うマーケティングや宣伝の考え方だけでは実現できなかった」と岡田氏。

つまり会社やブランドの評判を高めることがミッションである広報部門の視点を交えてこそ、実現できるプロジェクトでもある。なお、岡田氏は広報部長の前にマーケティング推進部長を務めるなど、長く同社の宣伝業務にも携わってきた。

「ネクストストーリー」の意味

「スバルネクストストーリー推進室」という新組織の名称は、吉永泰之社長がトップ自ら考案した。「スバルを買うと、新しい人生(ネクストストーリー)が始まる」というブランドメッセージでもあり、スバルがお客さまに提供する「安心と愉しさ」という価値を届け、実感してもらえるコミュニケーションを実行する役割を担う。

その本気度は、2014年5月に発表された新中期経営ビジョン「際立とう2020」を見れば明らかだ。注力する6つの取り組みのひとつに「コミュニケーション」を掲げており、当時から「スバルネクストストーリー」に関する構想が始まっていたことが分かる。

「今回のイベントは、あくまでこの構想の一部にすぎない」と岡田氏は言う。既に「アクティブライフ」のブランドサイトやアプリなどを提供しているものの、将来的にはスバルファンが集まるデジタルプラットフォームの構築、ファン同士のコミュニティやネットワークの支援など、オウンドメディアの活用も視野に入れている。

「趣味や嗜好が明確なユーザーが多いからこそ、コミュニケーション活動の進化にデジタルを活用できれば、その強みをますます発揮できるはず。次なる人生をアクティブに楽しもうとする意欲が高いユーザーの存在そのものがブランドの個性であり、他社と差別化できれば」と岡田氏。2020年に向けて、「お客さまの心の中で『際立った』ブランドになる」というゴールを設定し広報活動を進めていく方針だ。

    DATA

    富士重工業

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    2008年に運転支援システム「アイサイト」を発売するなど、予防安全性能の改良にも注力。11月には「スバル フォレスター」の大幅改良モデルを発売したばかり。「レガシィ」をはじめ、「LEVORG」「WRX」「インプレッサ」など、走行性能と質感にこだわりを持った車種を開発している。

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