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匿名記者が明かす残念な広報対応

「囲み取材から社長が逃げた…」傾斜マンション問題の広報を記者が告発

記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。

全国メディア 記者 A さん

全国メディアの記者として、日夜取材に勤しむ。寝る間もないほど多忙な日々を送るが、そんな日々の楽しみは、深夜に帰宅後、自宅で撮りためたドラマを見ること。寝るまでのわずかな間とたまの休日では見きれず、最近ではハードディスクがいっぱいで撮り逃してしまうこともあるとか。
イラスト:©dedmazay/123RF.COM

囲み取材から「逃げた」社長

横浜市内の12階建てマンションが傾いたという衝撃ニュースは10月14日ごろ、新聞や通信社、テレビ、雑誌などで全国へ報道され、広く人々が関心を持つところとなった。人生で一番大きな買い物である住宅の問題は、誰もが関わることだし、まして旧財閥名を冠した大手物件での不祥事であれば、なおのことである。

しかし、マンションの販売主である三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)は、全国紙が1面で連日報じ続けている10月21日の時点でもなお、マスコミの取材に一切応じていない。横浜市政記者クラブは当初、同社へ共同取材を申し入れたが、広報の回答は、「住民側への説明が終わるまで取材には一切応じないと管理組合と約束している」ということだった。

確かに住民への説明が先だという住民の気持ちも分かる。結果、報道各社はマンション内で非公開で行われている説明会での同社の説明や見解を確かめるべく、住民への聞き込み取材に力を入れることになった。

10月15日、藤林清隆社長が説明会に出席し、傾斜している建物だけでなく全4棟を建て替えるという大きな方針を示した。16日の説明会には、傾きの原因となった杭の打ち込み工事を行った旭化成建材(東京・千代田区)の前田富弘社長が初めて出席した。

こうした状況で16日夜には海外メディアも含めて最大級の報道陣が押し寄せた。説明会は午後7時からと、午後9時からの2部構成で、第2部は時間無制限で質問に応じるのが慣例だった。午後8時45分、NHKが「説明会で新たな不正行為を発表」と報道。第1部の説明会に参加した住民がNHKに全面協力したのだろう。一方で …

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