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リスク広報最前線

弁護士が危機管理を解説 トヨタCCO逮捕

浅見隆行(弁護士)

近年さらに複雑化する企業リスクに、広報はどう立ち向かうべきか。企業のリスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新の企業リスク事例を踏まえて解説する。

不祥事会見時、トップはどう振る舞うべき?
ジュリー・ハンプ氏の逮捕について説明するトヨタ自動車の豊田章男社長。会見の様子はYouTubeでも公開された。会見では、ハンプ氏に対する擁護とも取れる発言が。これに対し、「従業員を信頼していてすばらしい」という声がある一方、「自社の社員を擁護しすぎでは」といった疑問の声も上がった。

新任役員逮捕の衝撃

2015年6月11日に麻薬成分を含む錠剤57錠をアメリカから輸入した疑いで、同月18日、トヨタ自動車の新任女性常務役員が逮捕されました。

世界最大手である自動車メーカーの役員が逮捕されたという事実だけでもインパクトがあります。それに加え、4月に就任して2カ月しか経っていないこと、初めての女性役員であったこと、世界各地の広報部門のトップであったことが、インパクトをより大きくしました。女性役員が逮捕された翌6月19日に社長は記者会見を行い、会見を行った理由を「私にとっては役員も従業員も子どものような存在。迷惑をかければ謝るのも親の責任」と説明しました。

トップが記者会見する意味

常務役員が逮捕されたケースですから、社長が記者会見を行うのは当然です。逮捕された常務役員は重要な使用人として取締役会で選任された者です。選任を決議した取締役会の議長であり、対外的には「代表」取締役である社長が、選任が適切であったのか、逮捕後も常務役員として選任し続けるのかなどを説明すべき立場にあります。

役員が逮捕された場合や会社が不祥事を起こした場合でも、社長が記者会見を行うのが原則です。社長は「代表」取締役ですから、会社を「代表」して対外的に声明を発表するのがその役割だからです。

時々「会見に社長を出したくないのですが許されますか」という趣旨の相談を受けることがあります。しかし、会社が不祥事を起こした場合、「代表」取締役である社長が記者会見をするのが原則で、発生した不祥事の内容や程度に応じて、他の取締役が社長に代わって記者会見をすることが許される、記者会見をする権限を委譲することができる、と理解してください。

業務担当や広報担当の取締役が記者会見を実施するもので、最後の砦として代表取締役がいるのではありません。順番が逆なのです …

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