インナーコミュニケーションの役割がますます重要視されている昨今。一方、現場の声を聞くと「社内コミュニケーションが万全だ」という声は未だ少ない様子。今、企業内にはどのような環境の変化が生じているのか?
記者&専門家が伝授社員を巻き込む4つのテクニック
1. 組織の「縦ライン」を使う
「イントラネットを使って重要な情報を発信しているが、いまいち読まれない」「社員のモチベーションを高めるためのイベントを企画したが、参加率がいまひとつ伸びない」─。社内広報で最も問われるのが、社員を巻き込む力。ここに課題を感じている担当者にぜひ実践していただきたいのが、情報伝達や意識啓発に、組織の縦ラインを活用することだ。
相山氏は「部長クラスを集めて意識啓発をするなど、まず上長の意識を変えていくと、所属する部下にスムーズに広がります」と強調する。特に、体育会系の風土を持つ企業では効果が高いので、ぜひ有効に活用したい。ただ、あまり上司の押し付けが強くなってしまうと、「やらされ感」も出てきてしまうので、伝え方には注意も必要だ。
2. 「売上増につながります!」
社内コミュニケーションに理解のないトップや社員の説得にいつも腐心しているという人は少なくないだろう。そういった人を巻き込む魔法のフレーズが「社内コミュニケーションの強化は売上アップにつながります」だ。
「もし小売なら、店舗の営業部長を集めて、社内コミュニケーションが良好な店舗のデータを見せて『売上増に大きく関連する』ということを数字で証明してしまう。すると、『協力したい』というモチベーションが高まります」(相山氏)。
営業畑を歩んできたトップには、特に効果が高いこのフレーズ。トップの理解がなくて苦しんでいる担当者は、広報会議のコピーをそっと机の上に置いた上で、耳元でささやいてみたい。
3. 読まない社員には「情報飢餓」を
なかなか社内報を読まない社員、イベントに参加しない社員への対処法として有効なのが、「情報カスケード」と呼ばれる、情報を受け取る相手を限定する、あるいは情報を欲する人にしか情報を与えない、という手法だ。
「例えば、社内報は『希望者だけに配布する』として、事前に必要部数を聞くとか。または、イントラネット上に管理職だけしか見られないページをつくるなど。特定の人しか見られない情報をつくることで、『何が書いてあるんだろう』『読まなくては』と思わせることができます」(相山氏)。
その際、掲載する情報・コンテンツも、情報を伝えたい層のみを意識した、エッジのきいたコンテンツが好まれるという。ぜひ、実践してみたい。
4. 若手社員のエネルギーを活用
中島氏が最近多いと感じるのが、若手社員を巻き込み、ボトムアップで社内風土を変えていくというイベントや社内制度を持つ企業だ。
「新人や若手社員の声を拾い、企業の改善に活かしているような企業は増えていますね。また、新人に1日社長や役員を体験させてみる、といったように若手に業務全般の流れを見せることで、社員の視野を広げようという企業も。ベンチャーや中小では創業社長がトップダウンで経営している企業も多いですが、きちんと若手の声を汲み取る懐の深さを見せることで、企業の成長につながっているようです」。
若手や新人は企業の色に染まっておらず、ある意味会社を俯瞰で見れる存在。エネルギーもあり、周囲を巻き込む力も持っている。こうした若手の力を有効に使うことも重要だ …