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経営トップは今、何を語るべきか

取材は事前許可不要 ライフネット生命出口会長×広報関谷さん

ライフネット生命保険

ライフネット生命の創業者である出口治明会長。ネットニュースやバラエティ番組でもその親しみやすいキャラクターを存分に披露し、一見都合の悪そうな取材さえも臆せず挑む。出口氏がメディアに出続ける、その理由は何なのか。

表紙と特集冒頭で固い握手を交わしていたのは、このお2人。少し照れながら握手に応じてくれた。

親会社に保険会社をもたない戦後初の独立系生命保険会社として、2006年の起業当初からメディアの注目を集めているライフネット生命保険。創業者の一人である出口治明会長は、業界のタブーに切り込んだ“風雲児”としても新聞やビジネス誌の常連だ。

一方で、その親しみやすいキャラクターを前面に出したパブリシティも多い。ある時は「若手の言いなりになる上場企業の会長」としてテレビに出演してマツコ・デラックスにツッこまれ、またある時は芸人・スギちゃんに扮してネットユーザーにいじられる……。従来の保険会社のイメージを180度くつがえすような露出で、「ライフネット、よくこの取材受けたな……」とネットユーザーから心配されるケースも少なくない。

これについて、当の出口会長本人はあっけらかんとこう語る。「会社の機能を考えたとき、トップが一番に果たすべき役割はPRです。たとえ、恥ずかしくても、格好悪くても、自分の趣味趣向は捨てて、会社のためにやるしかないという割り切りが大前提にあります。これはグローバル企業のCEOにはごく当たり前に共有されていることだと思いますし、僕の考え方は普通だと思いますよ」。

しかも、こうした取材や企画の相談が広報に舞い込んだ場合、ある時を境にまったく出口会長に事前確認をしなくなったという。会長本人の許可なく取材を受けてしまうというから驚きだ。“ありのまま”の姿を見せることで自社のファンを増やす、同社のトップ広報戦略に迫った。

知名度アップのためなら、チラシ配りさえもいとわない。自ら路上でチラシを配る様子はメディアに取り上げられ、話題にもなった。

2012年3月の東証マザーズ上場を記念し、はてなとコラボして、出口会長のコラージュ画像を作成。ネット上で自由に言葉を入れ、ウェブ上に投稿できるように。中でも、当時流行していた芸人・スギちゃんのコスプレ画像には、500件以上の投稿があった。

取材は出口会長の承諾不要に

「何でも聞いてください。書きやすいように質問してもらっていいですよ」。取材開始後に開口一番、こんな言葉をかけられたところからも、出口会長の取材に対するフランクな考えが透けて見える。そんな出口氏のメディア露出への考え方に大きな影響を与えたのが、2009年にニフティが運営する「デイリーポータルZ」で実施した「ハトが選んだ生命保険に入る」という取材企画だ。これまでネットPRやデジタルマーケティングの成功例としても多数取り上げられており、目にしたことがある読者の方もいるかもしれない。

この企画は「1000万円」「2000万円」など死亡保障額を書いた紙皿にナッツをのせて多摩川沿いの土手に並べ、最も早くハトが食べた金額の生命保険に、記者がその場でパソコンから加入するというもの。記事では真夏の多摩川沿い、33度の炎天下の中で、出口会長が担当部長や記者らと一緒にハトがナッツを食べるのを待ち続けた様子がレポートされている。

あまりにも自由なこの企画。取材の話を持ちかけられたとき、出口会長はどう思ったのか。

「当時20代の若手社員が『出口さん、出てください』と提案しに来たとき …

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