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本田哲也のGlobal Topics

米国のエキスパートに聞く「東京五輪控えた日本のスポーツ広報、20年は遅れている」?

本田哲也

フライシュマン・ヒラードのJ.J.カーター氏は、オリンピック、ワールドカップ、NFLと世界的なスポーツ広報に関わってきたエキスパート。今回は、2020年に東京オリンピックを控える日本をどう見るのかについてインタビューした。

日本のスポーツマーケティングや広報は、米国より20年は遅れている─そう言い切るのは、6度のオリンピックに関わったスポーツ広報のトップエキスパートで、世界3位のPR会社フライシュマン・ヒラードで幹部を務めるJ.J.カーター氏。今回は、来日したカーター氏に話を聞いた。

カーター氏はNBAにてオールスター選手のPRに従事した後、プロテニス選手協会(ATP)の広報ディレクターに就任。ロジャー・フェデラーを米国に売り込み、錦織圭選手との親交も深い。2005年にフライシュマン・ヒラードに入社後も、オリンピック、ワールドカップ、NFLと世界的なスポーツ広報に関わってきた。

「我々の活動領域は主に3つです。ひとつ目は『ビジネス構築』。スポーツ企業や団体の広報支援はもちろん、スポンサーシップ、コンテンツマーケティングなど多岐にわたります。2つ目に『レピュテーション管理』。危機対応やスキャンダル対応、平時のイシューモニタリングやソーシャルリスニングです。3つ目に『リレーションズ管理』で、アスリートとの交渉、メディアリレーションズなどがこれにあたります」。

米国では、スポーツマーケティングの領域で活躍するのは広告会社ではなくPR会社。複雑なステークホルダー(企業・協会・アスリート・ファン・メディアなど)間での合意形成やエンゲージメント醸成は、まさにPRの得意とするところだ。

「最近の成功例は、ソチ五輪でのBMWとボブスレー米国チームのケースですね。BMWが開発する究極のボブスレーマシンで米国代表が挑むというストーリーを軸に、代表チームへの注目とBMWのブランド訴求を両立させた好例です。結果、代表チームは銀メダルと銅メダルを獲得し、BMWの売上も向上するという大成功を収めました」。

さて、世界的なエキスパートは、2020年に東京オリンピックを控える日本をどう見るのか。

「私がNBA広報で『NBA.com』を立ち上げたのが1996年。日本のスポーツマーケティングの現状は、残念ながらそのころの米国に重なります。まず、スポーツマーケティングは『広告出稿』ではないということ。もちろんペイドメディアも大いに活用するわけですが、根幹にあるのはリレーションズとエンゲージメント。さらに、リスク管理をあなどらないこと。日本はまだ、これらの理解が足りないように感じます。そして最後に時間感覚。2020年の東京オリンピックは、私から見ればもう『目の前』(笑)。日本の皆さんは、もう少し焦った方が良いかもしれません。いずれにしても、この素晴らしい機会に私の経験が役に立てば何よりですね」。

5年で20年遅れを挽回できるか?……ではまた来月!

本田哲也(ほんだ・てつや)

ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長/米フライシュマン・ヒラード上級副社長兼シニアパートナー/戦略PRプランナー。主な著書に『最新 戦略PR 入門編/実践編』(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)、共著に『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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