世の中に星の数ほどある企業を束ね、業界全体の活性化を命題として活動する協会や団体にも、広報の役割を担うキーパーソンがいる。今回は、一般社団法人をはじめ各業界の協会や団体でPR業務に携わる担当者が集まり、業界を盛り上げるべく奔走する4団体の広報活動について語った。
協会・団体のPR担う立役者
―― まず、皆さんが個々の協会・団体のPRを担当することになった背景や、現状の広報の体制を教えてください。
田嶌 ▶日本気象協会は、今年で設立65周年を迎える一般財団法人になります。しかし、広報の歴史はまだまだ浅く、2014年7月の組織改編時に新しく広報課ができたばかりなんです。
私自身は今年で入社6年目、広報の業務に携わって4年目になるのですが、以前は営業部の中に広報セクションがあり、名称も「お客様サービス課」という形で存在していたため、当時は社内外から広報を担う部署というよりも、「お問い合わせ対応の専門部署」という位置付けで認識されていたんです。しかし、再編時に協会内で広報も戦略を立てて取り組む必要があるという意見が多く出たことから、ひとつの課として誕生しました。
佐藤 ▶日本旅行業協会(JATA)は、1100社ほどの旅行会社からなる団体です。
私自身は広報としての職歴は10年ほどになります。元々近畿日本ツーリストで、海外パッケージ旅行商品の企画や経営企画、広報を担当し、2006年に広報部長に就きました。2013年からこのJATAに出向、広報室を統括しています。
永山 ▶日本建設業連合会(日建連)は、ゼネコンとも呼ばれる総合建設会社140社で構成される一般社団法人になります。
私自身は1992年より広報業務に携わっていて、2011年に日本建設業団体連合会、日本土木工業協会、建築業協会の3団体合併に伴って現在の日建連が発足したとき、広報部長に就きました。ですので、20年以上広報一筋で仕事をしてきています。
鈴木 ▶今回の座談会では一番の年長者になるかと思いますが、私もPRの仕事をして35年以上になります。
「みそ健康づくり委員会」は、母体が全国8ブロックに分かれた47組合、958企業が加盟する全国味噌工業協同組合連合会によって構成された組織で、その広報部門を担っています。
私自身は着任して2年目になりますが、電通パブリックリレーションズ出身で様々なPRの現場を見てきました。現在は、これまで培ったノウハウをフル活用して組織のPRに奔走しています。
多方面への情報発信を担う
―― 協会や団体のPRは普段は具体的にどのような活動をされているのでしょうか。一般企業との違いはどんなところにありますか。
佐藤 ▶会員サービス向上のために、会員への情報発信を行っています。ニュースメールや会報誌の『じゃたこみ』を制作して、JATAの取り組みや業務上役立つ情報を提供しています。これは旅行業界の理解を深めてもらうために、会員社以外にも自治体や関係省庁などにも配布しています。
また、旅行需要喚起などを目的としたメディアへの情報発信も行います。例えば …