クライシス発生時、実は重要な役割を果たす社内広報。今回のセミナーでは、企業リスクに詳しい専門家を招き、クライシス時にどのように社員にメッセージを発信すべきかについて考える。
セミナーは4月21日、宣伝会議本社で開催。2014年に発生した企業リスク事例も交え、クライシス時の社内広報のあり方について解説した。参加した広報担当者らは、熱心に議論に耳を傾けていた。
クライシス発生時、広報は記者会見対応やステークホルダー向けの説明などに追われ、社内向けの発信はないがしろにされがち。しかし、企業が危機からいち早く再生するためには、社員に適切なメッセージを発信し、動揺を最小限に留める社内広報が重要な役割を果たす。今回のセミナーでは、企業リスクに詳しい専門家を招き、インナーコミュニケーションの観点からクライシス時の広報のあり方について解説した。
社員の意識が追いついているか
第1部では、危機管理コンサルタントの白井邦芳氏、フライシュマン・ヒラード・ジャパン社長の田中愼一氏、産業編集センター はたらくよろこび研究所 部長の相山大輔氏が登壇。
クライシス発生時、企業にとって社員は再生の道のりを共にする力強い味方である一方、社員を通じて外部に内部情報が流出するなどといった、リスク要因にもなりうる。
白井氏は「クライシス時、社員は会社の問題点を一番よく知っているステークホルダー。社員に納得してもらえるような再生計画を策定しないと、優秀な社員から辞めてしまい、企業の再生は遠のいてしまいます」と指摘し、社の今後に不安をもつ社員をいかにフォローできるかが重要だと指摘した。
また、田中氏は、実際に再生計画を実現する段階でのコミュニケーションについて、「企業が変革する時、一番後からついてくるのが社員の意識。いくら再生に向けたすばらしい戦略があっても、そこに社員の意識が追いついていなければ、それは大きなリスクになりうると捉えるべき」と訴えた。
これに対し、相山氏は、「クライシスが発生した際、普段からいかに社員とコミュニケーションができているかが、その後の対応の重要な鍵を握ります」と改めて強調。最近は国内・海外のグループ間のコミュニケーションを強化したいといった相談も多く寄せられているといい、社内報に限らず様々なツールを活用し、関係性を強化すべきとした。
平時の体制づくりがカギ
第2部では、相山氏が再び登壇し、クライシス発生時の社内広報の役割について、具体的な企業の対応事例を交えて解説した。
相山氏は、クライシス発生前と発生後で、それぞれ異なる社内広報の役割について解説。まず、発生前の段階では、クライシス発生時にスピーディーに情報を伝達するための下準備を整えておく必要がある。「情報がきちんと広報に集まる体制や、社員にリーチするメディアを事前に整えておくことが重要」と強調した。
また、クライシス発生後は、
(1)情報発信のスピード
(2)社員が納得する、適切な情報開示
(3)社員のマインドマネジメント
─に特に注意して対応すべきだと述べた。
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