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フルハウス 山本俊輔さんが考える 「PRの先にあるもの」とは?

フルハウス

主要なPR会社の現場で奮闘する若手・中堅のPRパーソンに、現場の仕事や今後のPRのあり方について聞く。

「取材されればよい、メディアに露出すればよい─そんなPRは、もう流行らなくなっています」。クロスメディア展開や戦略PRが重視されている昨今、クライアントが求めるPRとは「メディア露出の“その先”を考えることだ」と、フルハウスの山本俊輔さんは言う。同社はPRの上で大きな波及力を持つテレビを得意とするPR会社だが、山本さんが考える「メディアの“その先”」とは、一体どこにあるのか。

今年で入社6年目を迎える山本さん。これまで様々なクライアントを担当してきたが、特にこうしたPRパーソンとしての原点になったのが川崎市のPRだ。市ではイメージアップを目的としたシティセールス戦略を10年前に導入し、同社としては7年前から継続してPRに参画している。

「川崎市は、東西に長い地理の特性上、東は産業エリアに臨海部の工場夜景、西は緑色濃くばら苑や生田緑地、中央は再開発が進む武蔵小杉といったように観光資源が分散し、東西でイメージが異なっています。それまでそれぞれ都市資源ごとに総花的に情報発信をしていたため、統一したイメージアップが難しいという課題がありました。また東京へのアクセスが良いため、“川崎都民”と呼ばれる、仕事やレジャーは都内で過ごし、寝るために川崎に戻ってくる市民も多く、地元に対する愛着が促進されづらいという面もあります。そこで、市民にもっと市を好きになってもらう、シビックプライドの醸成をPRの柱に掲げてきました」。

まず着手した都市資源として「カワサキハロウィン」が挙げられる。同社がPRに参入した2009年当時、日本におけるハロウィンそのものがよく知られていなかったため、まずはハロウィンそのものの認知度を高めるための啓発に着手。また、それまでイベント主催者や行政、商店街などがそれぞれ情報発信していたのに対し、PR主導で市民を巻き込み、情報発信を一元化。各自が持っていた情報やイベントにかける思いを丁寧にヒアリングして整理し直すことで、イベント主催者、行政、周辺商店街が一丸となった、新たなPR価値を創出していった。

この結果、昨年は六本木、渋谷、お台場、池袋なども相次いでハロウィンイベントに参入する中、「カワサキハロウィン」は「市民に愛されるイベント」として過去最高のメディア露出に。中でもテレビは、昨対200%を超える26番組が取り上げた。現在は、さらなるシビックプライドの醸成を目指し、市全体のブランドメッセージ、ブランドロゴの開発などにも取り組んでいる。

「メディア露出だけでなく、空気感をどれだけ醸成できたかが大事です。そのためには、あらゆる情報を統合しプランニングする力と、人を巻き込みながら実現に突き進む行動力が必要だと思います」と語る山本さん。

メディアに露出した“その先”に、消費者はどのような行動を取るのか?そんな、一歩先までを見据えたプランニングと、そのプランを確実に実現する力こそ、これからPR業界を生き抜く要となりそうだ。

企業DATA
企業名 フルハウス
所在地 東京都港区北青山1-3-6 SIビル青山5F
代表者 関口晃弘
従業員 80名(2014年6月現在)
沿 革 1973年創業。創業以来東京・大阪の2拠点体制を構築し、業界トップクラスのリレーションを誇るテレビメディアをはじめ、新聞・雑誌・ウェブ・ソーシャルまで総合的な広報サービスを提供する。

フルハウス 第3アカウントプランニング部
山本俊輔氏(やまもと・しゅんすけ)

2010年にフルハウス入社。これまでに担当した主なクライアントは、川崎市やリクルートなど。

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