新しいアイデアや事業は、社内のコミュニケーションの場から生まれることも少なくない。こうした作用を生み出すスペースを設けている企業のオフィス哲学とは?

これまで本社ビルとは別の建物にあった、商品の味づくりを行うテクニカルセンター(研究所)などを同じフロアに集約。各部署と連携しやすくなり、業務効率が格段に上がった。また新築ビルという利点も活かし、カスタマイズしたキッチンなどの設備も充実。
エバラ食品工業は2014年5月、みなとみらい地区の新築ビル、横浜アイマークプレイス最上階に移転。これまで横浜駅西口にいくつかのビルに分散する形で事業を行ってきたが、この移転により、本社だけでなく、国内すべてのグループ会社も一カ所に集約した。
「EMM(エバラみなとみらい)プロジェクト」と名付けられたこの移転計画は、“みんなで創り上げるオフィス”を目指し、全部署から選ばれた約30人のメンバーを中心に2013年1月から準備された。
これまでフロアごとに分かれていた各部署を同じ執務エリアに集約。さらに味の開発に直接関わるテクニカルセンターも同じフロアにすることで、提案までの工程が非常にスピーディになった。しばしば密な連携が必要となる、物流や広告宣伝などを行うグループ会社も同じフロアに集約し、あらゆる面でのスピードアップが実現した。オフィスの総面積は5614平米にもおよび、各執務エリアは以前と比べてもゆったりとしたつくりになっている。
また、ハード面からのBCP(事業継続計画)も強化した。最新の免震構造を備えたビルは、72時間分の非常用電源、3日分の災害備蓄品も備え、従業員の安全・安心を確保している。
移転後の9月に全社員を対象に実施したアンケートでも、新オフィスに対する非常に高い満足度が実証された。この新オフィスならではの、回遊性の高い執務エリア、ラウンジなどのコミュニケーションスペースを積極的に活用することで、グループの一体感の醸成とともに …