多くの高校生がスマートフォンで情報を得ている今、大学の入試広報は様変わりしている。東洋大学では2014年度入試から紙の大学案内や入試要項を廃止し、ネット出願へ移行。さらに今年度から、講義の動画をサイトで公開する「Web体験授業」を始めた理由とは。
東洋大学
入試情報サイト「TOYO Web Style」
www.toyo.ac.jp/nyushi/
基本情報 | |
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開設 | 2013年3月 |
ユーザー数 | 約6万人(会員数) |
管轄する部署 | 入試部/総務部広報課 |
更新体制 | 入試にまつわる情報は、主に入試部が広報課と連携して発信。入試部は専任14人、広報課は7人で構成される。2015年度からスタートした「Web体験授業」の動画配信は入試部の担当者2人と広告会社、外部の制作会社で、担当教員と構成をすり合わせながら制作している。 |
印刷媒体62万部を全廃
東洋大学では3月から、入試情報サイト「TOYO Web Style」内で動画コンテンツ「Web体験授業」を公開した。「入学前に『学び』を知る。」をコンセプトに、専任教員および分野の紹介を兼ね、教員1人につき1本、計画では3年間で500本の公開を目指している。
大学広報の主なツールは、大学案内パンフレットだ。一方で、デジタル主体の広報活動にシフトする大学もある。ホームページの充実や出願をネットへ移行している大学も増え始めており、東洋大でもネット出願を2014年度入試からスタートしている*1。
「東洋大で2012年に実施した約7万人の志願者アンケートによると、9割が主にウェブから情報を得ていたことが分かりました。そこで2013年4月から印刷物としての大学案内も廃止しています」と話すのは、理事で入試部長の加藤建二氏。ピーク時には年間で約62万部もの入試関連の印刷物があったという。紙媒体を全廃したことで印刷コストがそのまま、「体験授業の動画を500本公開する」という新たなデジタル施策の投資へとつながった形だ。
背景には、受験生を取り巻く情報環境の変化がある。2014年の調査では、東洋大学の公式サイトへのアクセスも6割以上がスマートフォン経由となり、8割以上がPC経由だった2011年から劇的に変わった。2013年3月には入試情報サイトをリニューアルしており、約6万人が会員登録している。
続々公開している「Web体験授業」動画のベースには …