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「ものづくり」技術と広報

巧みなPR戦略で「下請工場」の概念を変えた 由紀精密の挑戦

由紀精密 大坪正人社長

電気機器や航空など幅広い部品加工を手がける由紀精密(茅ヶ崎市)。従業員数23人の町工場ながら、ITやデザインの力を駆使し、人工衛星製造や航空機関連メーカー、はたまたコンサルティング会社など異業種と組んだプロジェクトを展開することで事業領域を広げ、新規顧客を開拓している。

リーマン・ショック時、多くの下請け町工場が倒産に追い込まれ、由紀精密も既存の取引先からの仕事が約7割減少となる中、高付加価値商品への転換やウェブを通じたPR強化により新規顧客を開拓し、前年比17%の売上減に留めることができた。

その秘密はいったい何なのか。立役者である3代目社長の大坪正人氏は「当社の技術は高いレベルにあると思いますが、同様のことができる企業はほかにもあります。そんな中で、当社が他業種とコラボした様々なプロジェクトに成功しているのは、技術力を上手くアピールしているから。企業活動において、広報の役割は非常に大きいと思っています」と強調する。

ポイント(1)

デザイン部隊が事業の幅広げた

デザイン専門チームを採用し、ロゴやウェブサイトをリニューアルしたほか、他の製造業に対するデザインコンサルティングも実施。事業の幅を広げている。

様々な異業種とコラボし、新たな製品を作り出す「ユキ・ラボ」。デザイン専門部隊も活躍し、ロゴデザインやPR支援を担当した。


2013年にリニューアルしたウェブサイトは、デザインチームの伊達令さんらが手がけた。
営業先からの問い合わせ増にもつながっている。

開発部デザインチーム・伊達令さん

サイトリニューアルでは、事業紹介の側面が強かった部分を活かしつつ、様々なプロジェクトが分かるよう画像を配置しました

町工場に「デザイン専門部隊」

由紀精密は、ネジ製造からスタートした、1950年創業の老舗町工場だ。かつては公衆電話の部品製造で収益を上げていたが、公衆電話そのものの需要がなくなってきたことを背景に業績低迷に追い込まれた。

創業者の孫で、2006年に製造系ベンチャー企業勤務を経て同社に入社した大坪社長は …

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