広報会議が2014年11月に110社の広報部を対象に実施したアンケ―トでは、「2015年に注力したいテーマ」として、1位のメディアリレーションに次いで2位は社内広報・インナーコミュニケーションズが挙がった。
本講演では、企業活力を生み出す社内(インナー)コミュニケーション施策について、社内報によって社員の帰属意識を高めてきた鹿島建設、ロゴ統一などのブランド・プロジェクトによってグローバルな一体感の醸成を進める三井物産、イントラネットを活用してグループおよびグローバルに鮮度の高い情報を届けるサッポロホールディングスが自社のインナーコミュニケーション施策について語った。

本講演のキーワード
■社内報は「直接手元に届くこと」にこだわる
■社内への浸透は社外へのブランディングの第一歩
■広報メンバーには現場に行くことを推奨
グローバルでのイメージ統一
――まずはそれぞれのお取り組みを教えてください。
財部 ▶鹿島建設で、1959年の創刊以来56年間発行を続けている社内報『月報 KAJIMA』を2012年から担当しています。基本は内製で、企画から取材、執筆、編集まで手がけてきました。
紙媒体にこだわるのは、「直接手元に届くこと」を大切にしているからです。建設現場を中心とした事業拠点は世界約2000カ所に点在しますが、その多くはプロジェクトが終了するとなくなってしまう「有限の職場」です。そこで働く人々に、毎月手紙のように届けることで、一体感や帰属意識を共有したいと考えています。
梅里 ▶サッポロホールディングスに入社後営業職一筋でしたが、2014年4月にコーポレートコミュニケーション部に配属となり、インナーコミュニケーションの発信側になったばかりです。当社はインナーコミュニケーションツールとして2008年にサッポロビール社内向けイントラネット「SAPPORO Web(Sweb)」を設置、2013年のポッカサッポロフード&ビバレッジ発足時に対象者を国内のグループ会社全体に広げた「グループSweb」に移行しました。グループ全体で鮮度の高い情報を共有するため、ほぼ毎日新たな情報を発信しています。
三井物産さんはインナーコミュニケーションと関係が深い企業ブランディングに取り組まれていますよね。
磯﨑 ▶三井物産のビジネスモデルはBtoBが主流で、これまでは …