日産自動車の元“名物広報”で、昨秋からは南米・ウルグアイ大使として活躍する田中径子さん。「大使と広報の仕事は似ている点も多い」と語る。

今年1月末「日本ウルグアイ投資協定」に署名し、ウルグアイ外務省外相代行と握手する田中さん。
2014年11月から、民間企業出身の女性として初となる在外大使としてウルグアイで活躍する田中径子さん。日産自動車でカルロス・ゴーン氏の専属広報を務め、2011年に出向した部品製造を担う子会社のジヤトコでも広報として活躍した。人柄を知る人からは「太陽のように明るい人」「すばらしいバイタリティの持ち主」と称され、経営トップやメディアからはもちろん、社会的な信頼をも獲得し大役を任された田中さん。そのPRパーソンとしての原点に迫った。
悪いニュースを伝えるのが役目
日産では海外メディアへの広報を皮切りに主として企業広報を担当。カルロス・ゴーン氏の専属広報として活躍した。「日本での社長専属広報の元祖は私だと思います(笑)。まず着任当時は日本メディアの特徴を理解してもらえるように心がけたつもりです。すべての取材依頼を受けることは時間的制約で不可能でしたので、その中で日本メディア・海外メディアのバランス、活字メディアとテレビのバランスを取るのに苦労しました」。
ゴーン氏には、着任直後に「良いニュースよりも悪いニュースを自分に伝えるのが広報担当の役目」と指示を受け、以来徹底していたという。
「ゴーン氏に限らずトップには悪いニュースがどうしても届きにくくなるため、裸の王様にならないよう、社内外の様々な情報に接する機会が多い広報担当に特にその役目を求めたのかと思います。実際、悪いニュースを伝え、感謝されることもありました」。
ジヤトコ出向「やりがいあった」
出向先のジヤトコでは …