国内外で口コミによる人気が広がり、売上の1割を輸出が占める日本酒「獺祭(だっさい)」。製造元である山口県の旭酒造は米国から欧州へ足場を広げ、海外売上比率5割を狙う。ブランドサイトやFacebookも活用し、海外ファンを着実に増やしている。
旭酒造『獺祭』
『Dassai Official Web Site』 www.asahishuzo.ne.jp/

広報担当が海外営業を兼任
「獺祭二割三分は僕の初恋だ」─写真家であり日本酒の愛飲家であるブラッド・ラッセル氏は、とあるコラムでこんなコメントを寄せている。山口県の小さな酒造から生まれた日本酒「獺祭(Dassai)」だが、1990年代からニューヨークを足がかりに米国に進出。近年は2013年からメルセデス・ベンツ ファッション・ウィークのオフィシャルスポンサーを務めるなど、日本発のブランドとしての存在感を高めている。ラッセルさんのように海外でも熱烈なファンが増えており、獺祭の公式Facebookページの投稿には英文のコメントが踊る。
「Facebookのダイレクトメッセージでいただくお問い合わせも海外発が増えました。取扱店や入手方法など、各国から問い合わせが日々入ってきます」と話すのはFacebook担当であり、旭酒造の広報担当・斉藤明日美さんだ。北米エリアの海外営業も兼務しており、1年の半分は渡米し、現地での飲食店向けプロモーションなども担う。
Facebookで投稿されるコンテンツの大半は斉藤さんが手掛け、時には桜井博志社長自らアイデアを提案することも。投稿には必ず英文を併記するほか、写真素材など非言語でも伝わる内容にこだわる。地道な取り組みが奏功し高いエンゲージメント率を維持しており、2014年には企業Facebookページの年間エンゲージメント率ランキングで9位にランクインした(ユニークビジョン「Belugaポータル」調べ)。
一方、ブランドサイトは英語・フランス語・中国語に対応しており、ウェブでの情報発信は「獺祭のこだわりを感じてもらう場所」と位置づけている。グローバルサイトの充実は今後の課題だが、その想いを裏付けるのは旭酒造の企業理念「酔うため 売るための酒ではなく 味わう酒を求めて」という考え方だ。
「ウェブを通じた日々の発信とともに現地の飲食店の方々とお話ししながら …