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「企業リスクと広報対応」10年史

ベネッセ情報漏えい問題を振り返る 後に禍根を残した原田社長の記者会見を検証

ベネッセコーポレーション 顧客情報漏えい事件

2014年7月
ベネッセコーポレーション 顧客情報漏えい

『広報会議』(2014年10月号)レポート「ベネッセ問題から広報は何を学ぶべきか」より。

    原田氏の注目度の高さも影響

    日本マクドナルド会長時代から、その経営手腕や発言に対する注目を集めていた原田泳幸氏。社内で顧客情報漏えいが明らかになっていたにも関わらず、それには触れぬまま、7月2日に経営方針発表の記者会見を実施したという対応ものちに批判を呼んだ。広報会議が2014年11月にネットユーザー500人を対象に実施した企業や個人の不祥事に関するアンケート調査でも、「自分も情報漏えいの被害者。謝罪の仕方に疑問を感じた」(26歳・女性・東京都)など、こうした同社の対応に疑問を覚えたという声も多かった。

2014年7月、ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)で、最大3500万件にも及ぶ顧客情報が流出する事件が発覚した。折りしもベネッセは、少子化で会員数が低迷していた通信教育事業の建て直しを図るため、同年6月に日本マクドナルド前会長の原田泳幸氏を社長に迎え、再スタートしたばかり。原田氏の注目度の高さもあいまって、連日報道は過熱化したほか、ネット上でも同社への批判が集まった。

この問題の余波は大きく、現在でも情報漏えいの損害賠償を求める集団訴訟が全国の地方裁判所で起きており原告は実に3500人以上。また、同社では再発防止策を含め、約260億円の負担を迫られ、2015年3月期の連結最終損益が1995年の上場以来初の最終赤字に転落する見通しだ。

グループ企業の派遣会社が顧客情報を金銭目的で転売していたことが原因で、ベネッセとしては被害者としての側面も持ち合わせていた今回の事件。しかし、同社はその“被害者感情”が広報対応ににじみ出てしまったことが、この問題の傷口を広げる大きな要因となった。

顧客への補償が後手で裏目に

広報会議では、2014年10月号、2015年1月号でこの問題について特集。広報の専門家やジャーナリストなどによる分析を掲載している。まず、専門家が指摘するのは …

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