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「企業リスクと広報対応」10年史

松下電器産業はいかにクライシスを乗り越えたのか

松下電器産業FF式石油暖房機一酸化炭素中毒事件

2005年1月 
松下電器産業FF式石油暖房機 一酸化炭素中毒事件

“ローラー作戦”の様子も報道

自社製品が原因となった一酸化炭素中毒による死亡事故が連続して発生したことで、当時のメディアにも連日大きく取り上げられた。一方、社員を大量に投入してのローラー作戦の様子などもメディアを通じて発信され、早期の信頼回復につながった。松下電器の対応は、その後のリコール対応のモデルケースとも言われ、2000年の三菱自動車、2006年のパロマ工業(現・パロマ)のリコール問題と対応の差を比較されることがある。

『PRIR』(2006年7月号)特集「リスクに負けない」より。

「ナショナルでは、古い年式のFF式石油暖房機を探しています。万一の場合、死亡事故に至る恐れがあります……」。こんなナレーションと、石油ファンヒーターの画像やメッセージが静止画で流れるテレビCMを記憶している人も多いだろう。2005年に5件の事故が発生した、松下電器産業(現・パナソニック)製FF式石油暖房機の点検修理・回収を呼びかけたテレビCMである。

松下電器はこのテレビCMの放映をはじめとして、新聞紙上への謹告文掲載や自社製品へのチラシ同梱、告知はがきの郵送、地域タウン誌への広告掲載など、様々な手段を使って消費者にメッセージを送り続けた。現在では、専門家から「リコール対応のモデルをつくった」と言われることもある当時の松下電器の対応。信頼回復までの道のりを、事故の経緯をひもときながら見ていきたい。

1度目の対応では再発防げず

最初の事故が発生したのは、2005年1月5日。福島県内で1人が死亡、1人が重体に。2月と4月にも1件ずつ ...

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