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創刊10周年記念特集「理想のPRを創造する」

コミュニケーションの世界を越境できるか?嶋浩一郎×近見竹彦「次世代広報」への提言

嶋浩一郎(博報堂ケトル)×近見竹彦(日本パブリックリレーションズ協会 理事長)

『広報会議』が創刊して10年。コミュニケーション環境は大きく変容した。パブリックリレーションズの転換期に寄せて、博報堂ケトルの嶋浩一郎氏と日本パブリックリレーションズ協会理事長の近見竹彦氏が、PRの可能性を語り合った。

博報堂ケトル代表 編集者・クリエイティブティレクター
嶋 浩一郎氏(しま・こういちろう)

1968年生まれ。93年博報堂入社。コーポレートコミュニケーション局で企業の情報戦略に携わる。『広告』編集長などを経て、2006年博報堂ケトル設立。主な仕事にサントリー、K D D I、J-WAVEなど。「本屋大賞」の立ち上げに参画し、カルチャー誌『ケトル』の編集、書店「B & B」の経営も手掛ける。2010 年、2012年カンヌライオンズPR部門審査員。2014年スパイクスアジアPR部門審査員。

日本パブリックリレーションズ協会 理事長 電通パブリックリレーションズ 代表取締役社長執行役員
近見竹彦氏(ちかみ・たけひこ)

1952年生まれ。77年電通入社。第15営業局局長、パブリック・アカウント局局長など歴任。2011年より電通パブリックリレーションズ 代表取締役社長執行役員。2014年6月より日本パブリックリレーションズ協会理事長を務める。

世界はすでに「PRの時代」へ

─近年、パブリックリレーションズの位置付けも大きく変わりました。

嶋 ▶この10年で、企業が生活者と直接的なコミュニケーションができるようになったと同時に、顧客や取引先、社員などのステークホルダーが、企業の様々な情報を得られるようにもなっています。そのため、世の中と関係を築いていくパブリックリレーションズの重要性は高まっていると思います。その一方で、「パブリックリレーションズ」と「パブリシティ」が混同されがちなのは気になります。パブリシティの獲得はPRパーソンの技術のひとつであって、パブリックリレーションズのすべてではありません。広報やPR業務に携わっている方はもちろん、コミュニケーションビジネスの世界や広く一般社会にも、その点の理解がもっと進んでほしいと感じています。まだ、企業によって広報部門をどのくらい重要視しているかには差がありますし、世の中にももっと広報やPRの仕事が認知される余地があると思います。今は過渡期なのかもしれませんね。

近見 ▶そうですね。私もこの10年で、広報やPRの仕事の存在感が高まったと感じていますし、まだ伸びしろがあると思います。マスやデジタルといったコミュニケーション領域の面でも、広報部門やPR会社の守備範囲は広がっています。だからこそ、挑戦しがいがある、非常におもしろい仕事だとも感じています。現に、世界的に見ると、優れたパブリックリレーションズの事例が近年たくさん生まれています。

─世界的には、「PRの時代」に突入しつつあるのでしょうか。

近見 ▶そう思います。例えば、世界三大広告祭のひとつである「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」という歴史ある賞があります。元々はグラフィックとCMを中心とする広告の祭典で、名称も「カンヌ国際広告祭」でしたが、2011年に変更されました。「広告」というワードが外れ …

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