13年間にわたりトップを務めたロバート・サイデル氏の後任として、2014年9月にアメリカン・エキスプレス日本法人トップに就いた清原正治氏。米国企業などの経験をもとに「経営者の役割は“決めて、語る”こと」と話す。

記者との対話を重視
2014年11月、虎ノ門ヒルズAndaz Tokyoで開催されたメディア懇親会では、約40人の記者とブロガーを招致。新社長のお披露目とともに、事業方針を発表した。清原社長は広報担当者とともに開始前に到着した記者に声をかけ、自ら挨拶に回る。約30分のプレゼンテーションと質疑応答を終えたのち、記者との懇親にもフランクに応じていた。社長就任後に受けたインタビューは8本に上る。

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル 社長 清原正治氏(きよはら・せいじ)
1962年生まれ。85年住友化学工業入社。99年GEコンシューマー・ファイナンスへ移り、常務取締役、GEMoneyファイナンス社長など歴任。2011年日産自動車へ。タイ日産販売金融会社社長、日産自動車アジア・パシフィック副社長などを務め、2014年9月現職。
GE、日産で学んだ「語る」力
─昨年9月に社長に就任され、11月には記者を集めてメディア懇親会を開催されましたが、積極的に記者の方々と対話をする姿と、自らの言葉で語るプレゼンが印象的でした。
経営者の役割は「決めて、語る」ことであり、言葉は最も重要な武器であると考えています。多くの経営者は「決定する」ことの重要性は認識しているかもしれませんが、「語る」という部分こそおろそかにしてはいけない、というのが私の持論です。
私自身は米国のGEコンシューマー・ファイナンス、日産自動車でキャリアを重ねてきましたが、それぞれジャック・ウェルチ、カルロス・ゴーンという偉大なリーダーの姿に学んだ経験が大きいですね。彼らは、経営者にとって最も重要な武器をアウトソースせず、自らの言葉で語り、自ら何を言いたいかを決める。どんなに多忙でも誰かが代わりに書いた原稿を読んだり、定型のスピーチ文で満足したりすることはありませんでした。
例えば重要なミーティングでスピーチをする場合 …