
多様化するサイバー攻撃
前回は、私たちが暮らす社会とITが密接に結びつき、切っても切れない関係にあること、そしてそのようなサイバー空間のリスクについて説明しました。今回は、数多く報道されるサイバー攻撃が誰によって仕掛けられ、その目的は何かについて考察します。サイバー攻撃に関するニュースで一番多く目にするのは、情報漏えい事故でしょう。キャンペーンサイトから応募者のデータが漏えいしたり、病院のカルテ情報などが漏れたりする事故があったほか、米国では個人の年収が含まれた社会保障番号が盗まれる事件が報じられています。こうした攻撃への対策を練るためにも、まずは原点に立ち返り攻撃者について考えてみましょう。
サイバー攻撃が行われるようになった初期のころは、攻撃を仕掛けるのはコンピュータウイルスをばら撒く人間でした。自分がつくったウイルスに感染する人を見て喜んだり、腕自慢したりするような輩です。彼らは、“愉快犯”にほかなりません。自己顕示欲などを満たそうとする者は、恐らく今後も絶えないでしょう。
次にパソコンとインターネットの普及によって現れたのが「金銭」目的のコソ泥や詐欺師です。当初は個人のクレジットカード情報などが狙われましたが、最近では …
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