
新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを紹介する「リリース道場」。今回は、三陽商会による、三越とのコラボが話題になったリリースを紹介します。
「自然としつこい」リリース
2014年暮れに日本経済新聞社が発表したヒット商品番付にも名を連ねた、アパレルの三陽商会。番付では契約終了が決まった海外ブランド・バーバリーのトレンチコートが駆け込み需要でヒットしたという切り口でしたが、その裏では自社ブランドSANYOの「100年コート」を開発するなど、新しい動きも始まっていました。
今回はその「100年コート」のリリースから、名門アパレルの広報戦略を研究します。事業本部マーケティング戦略室の広報担当課長である菅原久典さんと香川公典さんに話を聞きました。
三陽商会は1943年設立、レインコートを中心としたコートメーカーとして成長し、海外ブランドとのライセンス契約などを含め事業を拡大しました。2013年に設立70周年を迎えたのを機に、「TIMELESS WORKほんとうにいいものをつくろう。」というタグライン(企業メッセージ)を発表し、リリースのロゴなどにも使用することで、自社がどんな企業であるのかを発信しています。コートは衣服の中でも製造工程数が多く高い技術が必要な商品で、タグラインには技術を突きつめた創業者の思いを継承する意味が込められています。それを具現化した商品が「100年コート」で、普遍的なデザインで親から子へ、子から孫へとメンテナンスをしながら受け継いでほしいとの思いが伝わり、インパクトもある良いネーミングだと思います。
そして2014年の7月と11月に配信されたのが、今回掲載しているリリースです。まず目に入るのはタイトルの最上段に配置した「100年コート」のロゴ。後述するようにタイミングを計って何度も「100年コート」のリリースを配信していますが …