フライシュマン・ヒラードNYの責任者で、北米東海岸のプレジデント兼務のRobert Dowling氏。
議題は「NY支社におけるクライアントサービス体制の改革」。
グローバルPR会社の世界会議ってどんな感じなのだろう?今回は、その内情をちょっとだけご紹介しよう。僕たちのグループ、「フライシュマン・ヒラード」は世界3位のPRファーム。従業員およそ3000人で世界100拠点以上に展開している。ここ数年、大きく伸びているのがアジアパシフィック地域で、10カ国に18拠点を有する。アジア統括は香港に置かれており、1月の後半、年に一度のアジア地域代表者会議が開催された。集まったのは世界中から50名以上。主なメンバーは、アジア各オフィスの代表者(僕もここに含まれる)、グローバルCEOのデイブ・セネイをはじめ米国本社の役員、アジア・プレジデントのリンアン・デイビスと香港の統括部隊、そしてグローバルのデジタル統括、危機管理コンサルタントなど、世界トップレベルの専門家も欧米から参画する。
現地ではまず恒例の「ウェルカムディナー」。世界各国から香港入りした面々が一同に会する前夜祭みたいなものだ。「アジア地域でトップ10クライアントワークの70%に、1拠点以上のオフィスが関わっている(例えば香港と東京、北京とインドネシア、といった具合に)」という数字が示すように、オフィス間の連携は活発で、各国の仲は良好。時差ボケ気味の欧米参加者を尻目にワインも進むが、ほどほどにしておいたほうがいい。なにしろ、翌日の本番は朝8時にスタート、そこから夜の6時までほぼ休みなしで全体会議となるからだ。
本番のアジェンダはこんな感じだ。まずはアジア代表であるデイビス女史の挨拶から、2014年実績の振り返りと今後について。続いてプランニングやクリエイティブ、分析リサーチ機能のインテグレーションについてのセッション(多くのグローバルPR会社の優先課題。僕も日本での実績をここでシェアする役割だった)。ある大手クライアントの実例紹介をはさんで、次は企業レピュテーションのセッション。NYや香港の専門家からの最新フレームワーク紹介や、韓国における危機管理の最新事例(ここで紹介できないのが残念)など。
ここでやっとランチなのだが、ここでもゲストスピーカーが登場。あまり食べた気はしない。休む間もなく、午後からのセッションは、アジアの規制緩和や政策転換の最新状況。今回は、中国、日本、インド、インドネシアにおける機会共有と、米国ワシントンDCオフィスの専門家による、米国アジア関係のアップデート。さらに、有望なグローバルクライアントへのサービス拡大について議論、本社機能のグローバル人事、ファイナンスからの報告と続き、夕方の5時も大きく回ったところで、CEOの所感表明。みなクタクタになってディナーに向かう(笑)。ヘビーだけれど、多様なPR専門家が一同に会するダイナミズムには代えがたい。ではまた来月!
本田哲也(ほんだ・てつや)
ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長/米フライシュマン・ヒラード上級副社長兼シニアパートナー/戦略PRプランナー。主な著書に『最新 戦略PR 入門編/実践編』(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)、共著に『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。