一生かけて追求する価値のある「PR」の仕事の未来像を描こう
新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。
米国PRのパラダイムシフト
読売新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏による米国からのレポート。現地取材により、PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。今回のテーマは、米国企業が取り組み始めた「ブランドジャーナリズム」です。
Microsoft「Stories」
2013年スタート。専門スタッフは元記者やライターなど5人。「人」にフォーカスしたストーリーが特徴。
前号の海外レポートでも紹介した「ブランドジャーナリズム」。まだ耳慣れないかもしれないが、米国では着実にその活用は広がっており、企業のブランド価値を高める新たなPRのあり方として、大きな関心を集めている。今回は、その実情、活用事例や課題などを紹介するとともに、日本での普及の可能性などについて考えてみたい。
ブランド(=企業)とジャーナリズム(=メディア)は本来、取材される側とする側という、まさに対峙する関係にあったはずだ。この「対義語」が、いつの間にか「同義語」になってしまった─。乱暴に言ってしまえばこういうことかもしれない。
言い換えれば「企業のメディア化」、つまり、企業が自ら取材をし、編集した記事やストーリーをウェブサイトやソーシャルメディアなどを通じて、直接、生活者に発信していくということだ。もうひとつのトレンドである「コンテンツマーケティング」と混同されやすく、「企業が直接、ステークホルダーに有益で役立つ情報を(なるべく)“宣伝臭”なく提供していくことで、ブランド価値を高めていく」という概念は共通しているが、定義も様々で、明確な線引きをするのは難しい。
ブランドジャーナリズムがジャーナリスティックな視点で「ストーリー」や「ニュース」といったコンテンツを提供しているのに対し ...