例えばソーシャルメディアや採用専門ポータルなど、企業からの情報を掲載する場は多岐にわたっている。メーカーなどでオウンドメディアの運営に関わってきたニューズ・ツー・ユーの朝火英樹氏は、「外部メディアとの連携が重要」と指摘。現代的なオウンドメディアの活かし方とは?
企業が様々なツールやメディアを活用し、直接ユーザーに情報を届けられるようになり、コミュニケーションを進めやすくなった。おのずと「何を伝えるか?」が重要になり、企業が独自にコンテンツの企画・制作から編成など運用まで行うようになり、まさに「企業のメディア化」が起こっている。
情報発信の機会が広がる
今、企業の情報発信は大きく変化しています。従来のプレスリリース(広報)や宣伝広告活動に加えて、企業が伝えたいことをコンテンツ化して様々なメディアを通じてユーザーへ発信する機会が広がっています。いわば、企業が「メディア化」しているのです(図1)。この流れは私がメーカーなど事業会社に勤めていたころからありましたが、今はさらに顕著になっています。
具体的には、特設ページとして制作した企画コンテンツ、動画配信、ネットPR、ブログ、各種ソーシャルメディアなどを活用した情報発信を各企業が実施し始めています。さらに、PCのみではなくスマートフォンでの閲覧も増加しているため、コンテンツを制作する際、マルチデバイス対応も考慮して展開する必要が出てきています。
言い換えると、コーポレートサイトを含むオウンドメディア*1における継続的な企業の情報発信は、コンテンツの「企画・制作・運用」とセットになり、結果的に企業独自のメディアを運用することになっているのです。
本稿では、「メディア化する企業」におけるオウンドメディアの重要性が増す中で、考えるべきコーポレートサイトを含めたトリプルメディア*2の在り方や、デジタルマーケティングでの認知の拡大、リード(見込み客)獲得に必要な情報発信について解説します。
*1 自社で編成・情報発信・運用できるコンテンツ・ページ群(YouTubeの公式チャンネル、Facebookの公式ページなどもオウンドメディアの範疇)
*2 オウンドメディア、ペイドメディア(広告など購入するメディア)、アーンドメディア(ソーシャルメディアなど評判を得るメディア)の3つを指す
役割1.ファクトやソース確認の場
読者の皆さんの多くは、広報業務としてリリースやコンテンツを通じて情報発信していると思いますが、あらためて、自社の情報発信としてのオウンドメディアの役割をここで考えてみましょう。
オウンドメディアは、企業とユーザーとのコミュニケーションにおいて、すべてのメディアのハブとして重要な役割を持ちます。「ファクト・ソース情報」の掲載場所および、「コミュニケーション」の場となるのです。
「ファクト・ソース情報」とは、企業概要や広報・IR、製品・サービス情報など、企業情報として公表している公式な情報を指します。簡単に言うと「企業が正式に情報発信している」という証明になる情報です。
具体的には、ソーシャルメディアやニュースサイトで話題になった情報について、コーポレートサイトにアクセスして確認したら実際に掲載されているので「本当なのだ」と信用する……といった形で機能しています。
逆の場合でも、重要な役割を持ちます。例えば …