記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。
全国メディア 地方支局 Sさん(女性)全国メディアで中堅記者として勤務し、事件取材から行政、はたまたイベント取材まで幅広くこなすオールラウンダー。忙しい生活だからこそなのか、少ない休日は自宅に引きこもり、ひたすら読書やDVD鑑賞を楽しむ日々だとか。 |
「プライバシー」は免罪符?
ここ数年、行政担当として県庁や市役所を取材する機会が多い。県や市町村では、広報課がすべての窓口になることはあまりなく、取材したい内容によって、それぞれの担当課に対応してもらうケースがほとんどだ。広報課には記者に理解のある担当職員もいるが、それ以外の課では取材慣れしていない担当者が圧倒的に多い。文字通り「お役所仕事」と言わざるを得ないような四角四面な対応に、つい声を荒らげる記者の姿もよく見かける。
最近、取材の場で横行していると感じるのは「プライバシーの問題でお答えできません」という回答だ。特に、不祥事や職員の懲戒処分の記者会見などでむやみやたらと登場するのだ。
実例をあげてみる。某県で職員が他人の個人情報を不正に入手したとして懲戒処分になった事案があった。配られた発表文には、処分内容(停職○カ月など)と、性別、処分理由の概要しか記載されていない。もちろんそれだけでは記事にならないので、不正入手した理由は何なのか、悪用された事実はないのか、本人が県の聞き取りにどう説明しているのか、詳細を質問するのだが、すべて「プライバシー」を理由に十分な回答は得られなかった。
事案の内容によっては公にできないこともあるだろうが …
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