社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。

UAの25年を社史に
創業社長の発案をきっかけに、社史『UAの信念』の制作が最も早くスタート。書籍として制作し、出版した。
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ユナイテッドアローズ セレクトショップの運営を主軸に、元ビームスの重松理氏らが設立。1990年に1号店となる渋谷店をオープン。現在は複数ブランドを展開し、店舗は計232店(2014年3月)、オンライン販売にも注力。セレクトショップ運営会社としては唯一の株式公開企業で、東証一部上場。 |
1989年設立、2014年に25周年を迎えたセレクトショップのユナイテッドアローズ(以下UA)。社史の出版、記念アイテムの販売、スペシャルサイトの開設など、周年ならではの様々な企画を実施しています。今回は周年プロジェクトを中心的に進めてきた経営企画部 広報CSRチームの吉田淳志さん、米倉慎太郎さんを訪れました。
感謝を周年事業のテーマに

(左奥から)ユナイテッドアローズ 経営企画部 広報CSRチームの吉田淳志さん(リーダー)、米倉慎太郎さん。(右)は聞き手である筆者
周年事業として「何を」やれば良いのか、「どう」やれば良いのか、その目的と手段の設定に悩む企業が多いようです。ポイントは目的や手段を考える前に、その企業にとっての周年の「テーマ」を定め、関係各位の間で共有することです。何でも実現できる周年事業だからこそ、出発点を明確にすることが重要です。
UAの周年テーマは、「Arigato Gozaimasu」。これまでの25年間の歩みを踏まえすべてのステークホルダーに「感謝」を伝えることでした。その上で、ステークホルダーごとに施策を整理し、周年事業全体を描いています。
こうすることで、各施策で何をするべきか明確になります。周年事業は企業のメッセージを伝える機会。「誰に」「何を」伝えるのか、コミュニケーションプランを整理することで周年事業全体をデザインできます。
どんな取り組みもそうですが「やらされ」感の強い企画は大抵うまくいきません。誰かの「やりたい」という意志と周囲の共感の総量が、周年事業という長期の取り組みを成功に導きます。
今回のプロジェクトは、3年前の重松理社長(当時)の「社史をつくりたいね」という一言から開始。書籍として発行された社史『UAの信念』は、社員にとっても読み応えがある内容です。過去の苦労話まで社内外に包み隠さず伝えるトップの姿勢は、社員の共感を呼んだことでしょう。
周年サイトの内容も充実しており …