前回、他部署との連携について学んだ広子。努力のかいもあって、ついに社長をプロダクトマネージャーとし、会社説明資料を作成する社内プロジェクトチームが立ち上がり、いよいよ広子の腕の見せどころ、という局面のはずだったが……。
3時限目
コーポレートストーリーとは


大森 ▶広子さん、こんにちは、おや、相変わらず、顔色がさえないね。この間の電話では「各部署の協力が得られました」って喜んでいたのに。
広子 ▶そうなんです。部長が連絡会議で、「社長を中心とするプロジェクトとして、会社説明会資料を作成する」と宣言したこともあって、各部署の協力体制が固まり、情報もたくさん出てくるようになって。でも、それに伴って、各部署からの要請も強くなって……。はぁ。新たな悩みが増えました。
大森 ▶要請って、例えば?
広子 ▶「自分の部署に関連した内容を書いてほしい」「銀行にはこういう説明をしているから、整合性を取ってほしい」「お客さまの目に触れる可能性もあるから、配慮してくれ」とか。でも、こちらを立てれば、あちらが立たず、といった具合で。
営業担当者からの情報は、会社の取り組みの最前線が分かるし、お客さまが選択するポイントや比較優位性がリアルになるから投資家の理解度も増すと思って、新製品を中心に置いたんですけど、各部署からのダメ出しも多くて。
大森 ▶じゃあ、一つひとつ整理していこうか。まず、今の話だと、広子さんとしては、コーポレートストーリーの軸に、「新製品による成長」を置いたということだね。
広子 ▶コーポレートストーリー?会社の歴史みたいな話ですか?
“事実の積み重ね”が重要
大森 ▶IR活動を製品のマーケティング活動だと仮定すると ...