来る2015年。リスクのトレンドはどのように変わっていくのか?企業不祥事に詳しい竹内朗弁護士は「取引先・子会社」「海外事業」への注視が必要と語る。広報も押さえるべき、法的な観点からみた最新事情を解説してもらった。
企業が気をつけたい 三大リスク
1. 近年の企業リスクのトレンドは、取引先や子会社の不祥事の“飛び火”にあり
3. 誇大表現やステマなどの不当表示に対し、消費者の目線はますます厳しくなる
2. カルテルや外国公務員からの賄賂要求など、海外リスクには十分な備え
「取引先不祥事」の1年
2013年は「子会社不祥事」の年だったといえる。カネボウ化粧品の美白化粧品による白斑被害問題、みずほ銀行とオリコの反社会的勢力向け融資問題、アクリフーズでの食品への農薬混入事故は、いずれも花王、みずほフィナンシャルグループ、マルハニチロホールディングスという上場親会社における期間業績や役員の去就に大きな影響を与え、親会社はこぞって子会社管理のさらなる強化を打ち出した。
2014年は、さらに一歩進んで、「取引先不祥事」の年だったと総括できる。ベネッセで起きたシステム開発運用のグループ会社の業務委託先の元社員による個人情報漏えい事故と、マクドナルドで起きた中国のサプライヤーによる使用期限切れ鶏肉混入という2件の大きな不祥事は、「取引先不祥事リスク」が顕在化したものである。
これらの共通項は、いずれも「業務委託先」「サプライヤー」という、子会社ですらない単なる取引先で起きた不祥事にもかかわらず、両社に非難が集中し、業績を悪化させた点にある。
ここまで重大化した理由は、いずれの不祥事も ...