あの不祥事は、なぜあれほど世間から批判されたのか─?顧客情報漏えいからフードテロ、取引先・子会社の不祥事まで、2014年の危機管理広報の誤りを専門家と振り返りながら、広報の視点で会社を守り、評判を高めるためのポイントを徹底解説します。
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労働ジャーナリスト 金子雅臣氏はこう見る
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最高裁の「妊娠を理由に降格させたことは違法」という判決で俄然、注目されることになったマタハラ*。典型的な例としては、(1)妊娠したことを理由に解雇したり、雇い止めにしたり退職を迫る (2)妊娠したことなどを理由に雇用形態を変えたり、仕事を変更する (3)妊娠中や育児休業明けにもかかわらず重労働や長時間労働をさせるといった例が挙げられる。
いずれも男女雇用機会均等法や育児・介護休業法で禁止されているが、「子どもを産んだら会社はやめるもの」という考え方や法律の無知が原因で繰り返される。
今回は(2)のケースで、妊娠や出産を理由に女性労働者に不利益な扱いをすることを禁じた均等法9条の解釈が争点になった。そして最高裁は「特段の支障が生じる場合」か「本人が同意した場合」以外、降格は違法だという厳しい判断を下した。この判決は、マタハラについて企業としての再認識を迫るものになっている。企業はこれまで以上に管理職層の法の理解などの対策が必要になってきている。
*マタニティー・ハラスメントの略称で、妊娠・出産をした女性に対する職場の嫌がらせをいう和製英語