リスク発生時、ついないがしろにされがちなインナーコミュニケーション。しかし、「従業員への的確なケアが企業再生への道を大きく左右する」と産業編集センター はたらくよろこび研究所の相山大輔氏は指摘する。
危機管理とインナーコミュニケーション
1. リスク時の社内広報は、スピード勝負と心得よ
2. マスコミだけでなく、従業員にもしっかり情報開示を
3. モチベーション維持のための“仕掛け”を仕込むべし
危機発生時こそ社員に目配りを
不祥事が発生した場合のコミュニケーションは、大抵において待ったなしである。当事者となった企業は、いち早く記者会見を開き、事情を説明しながら、時には釈明したり謝罪したりと一所懸命コミュニケーションを図る。では、従業員に対してはどうだろうか?
対外向けほど熱心かと振り返れば、そうでないケースが多い。ましてやそこは待ったなしの状況。従業員への対応はないがしろにされがちだ。
不祥事にショックを受けているのは、従業員たちも同様である。非難や批判が相次ぐなか、事件と関係のない働き手にしてみれば、これほどやるせないことはない。そこへいかに働きかけ、心が折れないよう計らうかがインナーコミュニケーションでは重要になる。
かつてクライスラーが工場を閉鎖する際、従業員向けに5回以上にわたり説明会を実施したそうだ。何度も話し合いの場を持ち、できる限り納得を得られるよう努力を払った。一方、日本のとある企業が工場を閉鎖した際は ...
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