詳しくない、担当できない、といった理由でネットを避けていられたのは、もはや過去の話だ。本誌「ウェブリスク24時」を連載中のビーンスター 鶴野充茂氏は、「今や真面目にネットに向き合わないこと自体が大きなリスク」と語る。具体的な失敗パターンを知り、しっかり対策を立てよう。
よかれと思っての対応も、世論を読めないと逆効果になる。7月に発生したベネッセの顧客情報流出事件を受け、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は自社の情報管理について「ご安心ください」とのお知らせを自社サイトに掲載。「かえって不安になる」「なぜこんなコメントを」と多くのユーザーが疑心暗鬼に陥ってしまった。(本誌連載「ウェブリスク24時」2014年10月号より)
新聞を超えたスマートフォン
インターネットが普及し始めて約20年。ブロードバンドだ、SNSだ、と騒がれてはきたが、ネット企業やベンチャーなどでもなければ、広報業務においてこれまでネット対応がその中心に据えられることはなかった。しかしここにきて、それがどういう組織かに関わらず、少なくともネットを避けて通れない段階に入ってきている。大きな要因はスマートフォンの普及だ。2014年9月、携帯電話の国内端末契約数でスマホがフィーチャーフォンを超えた*1。
スマホ契約数は6248万件。これに対して、新聞の発行部数は1年前の段階ですでに6000万部を割り込んでいる(2013年10月、セット紙を朝・夕刊別に数えた場合)*2。既にスマホは新聞を超えているのである。
もちろん単純比較はできないが、情報メディア・情報伝達手段という側面で、規模としてスマホはもう無視できない存在になっていることが分かる。
*1 MM総研調べ
*2 日本新聞協会調べ
誰でも炎上に参加できる怖さ
このスマホが、昨今のネットセキュリティ問題にも大きな影響を及ぼしている。スマホ利用者は単なる情報やニュースの受信者ではない。ときに映像音声の記録者となり、そしてときに発信者となる。
特に押さえておきたいのは、機能面とインフラ面の影響だ。
例えば店員の対応に不満を持った利用客が ...