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ASEANデジタル広報入門

ASEAN観光客のためのPR、炎上しないための基礎講座

高橋学(アジアクリックシンガポール)

2000万人の外国人観光客誘致を目標とする、訪日観光インバウンド。中国人・韓国人に代わって、ASEANからの観光客への期待が高まっている。今回はASEAN観光客を対象としたPRについて、ポイントを紹介したい。

訪日客誘客に宗教理解は必須

国際情勢に左右されやすく訪日数が不安定な中国人観光客・韓国人観光客に代わって、大きく期待が高まっているのがASEANからの観光客だ。インドネシア人の観光客も12月1日からビザの免除がスタートするほか、さらに2015年は、ベトナムおよびフィリピン人観光客にもビザ免除の方向で調整に向かっている。ASEAN市場進出だけでなく、これらASEANの6億人市場がより私たちのビジネスにとって日常的になりそうだ。

今回は現在、訪日ビザが免除されているタイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア人観光客について触れてみたい。そもそも、これらの国は宗教、民族などがまったく異なる状態の国であり、さらに国だけでなく民族・都市ごとにマーケティングしなければならない。

とういのも、宗教においてはマレー系民族(インドネシアで約9割以上を占めるプリブミ、マレーシアで約7割以上を占めるマレー人)はイスラム教であり、各国の華僑は多くが仏教・道教、またはキリスト教が多数を占める。またタイ人も仏教が多数派だ。

ASEANに向けたPRにおいて、最低限押さえておきたいのが「宗教に触れない」ということである。中でもASEANの半数以上を占めるイスラム教においては、ハラル(イスラム合法)を理解しつつPR戦略を練る必要があるのだ。例えば、訪日PRにおいてはイスラム教徒は旅行中、お祈りの数を数回にまとめられたり、食べるものの制限が緩くなったりと比較的寛容な部分もある。具体的には、日本の天ぷら屋は酒も置いているが、天ぷらには豚が使われていないので飲食をするマレーシア人イスラム教徒も多い。同じく豚や酒を取り扱っているコンビニで買い物をすることが可能、といった具合である。

厳格なイスラム法であるシャーリア法を適用するマレーシアやブルネイのイスラム教徒に比べて ...

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