記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。
記者として10年以上、幾多の企業や役所の広報担当者と付き合い、数々の会見にも出席した。「ひどかった」と思い出すものはおおむね3パターンに分類ができる。以下、具体例を交えつつ紹介する。
【1】とにかく逃げようとする
数年前のこと、ある工事中のトンネル内で爆発事故が発生した。国土交通省の記者クラブでは、社会部記者が中心となり工事を担当したゼネコンに会見を開くよう要請。しかしゼネコン側が逃げの姿勢で断り続け、会見を開いたのは事故発生の4日後だった。結果的に4人が亡くなった事故。記者の感覚では、この規模の事故で発生翌日までに会見を行わないのは理解に苦しむ。当然、社会部記者たちは怒り、4日後の会見は私の記者人生の中で最も“荒れた”。
まず、記者クラブでの会見進行はマスコミ側が仕切るのが決まりだ。ところがゼネコン側は知らなかったのか、広報担当者が仕切り始めた。その上、記者の質問に社長は「分からない」「警察が調べている」と連発。あげくに会見を一方的に打ち切った。記者の「逃げるのか!」という怒号が飛び交う中、社長らは会見場から逃げるように去った。翌日の各紙朝刊の論調がゼネコンに厳しいものになったのは、読者も想像できるだろう。
余談となるが、筆者は社会部ではなく、経済部記者だったため、直接事故の原稿を書く立場になかった。しかし、懇意だった複数の国交省幹部に「あのゼネコンの会見どうだった?」と聞かれ、そのたびに「ひどい会見だった」と答えざるを得なかった。会見対応の善し悪しは監督官庁の企業評価にも影響する可能性があることを肝に銘じてほしい。
【2】新聞、読んでいますか?
記者が広報担当者の基本的な能力を量ることができるのは ...