誰もが知りたい、身近な世界の裏側を覗き見ることができる『超潜入!リアルスコープハイパー』。スタート時から番組制作に携わる総合演出の石川陽氏(NEXTEP)に、思わず制作陣が“潜入”したくなるネタのポイントを聞いた。
デパート特集では、各百貨店の担当者がスタジオで紙袋へのこだわりを語るシーンも。
身近な世界の裏側に潜入
「新幹線の仕組みってどうなっているの?」「百貨店の物産展で、旬なお店ばかりが並ぶのはなぜ?」─。そんな身近な疑問を、とことん潜入して解き明かすのが、フジテレビの人気番組『超潜入!リアルスコープハイパー』だ。企業関係ではこれまで、百貨店、スーパー、ヤマト運輸、JAL、ユニクロなどの舞台裏を取材。特に、電車や飛行機といった“乗り物系”をテーマにした回の人気が高く、ファミリー層、特に小学生男児から高い支持を得ている。総合演出の石川陽氏(NEXTEP)は「普段見ている世界の裏側が『実はこうだった』ということを知って、世の中が面白くなったらいいね、というのがコンセプトです。最初から面白いと分かっているような企画よりも、『裏側はどうなっているんだろう』という疑問から始まったものの方が面白いですね」と話す。
番組は2010年に深夜枠でスタート。当初は「大人の社会科見学」をテーマに、製造工場に潜入する企画が話題を呼び人気に。その翌年、ゴールデンに進出した。
企画は放送の約3カ月前に決定。潜入先の企業などと交渉して、まずディレクターのみのロケを実施。ディレクターはこの時のVTRを元にプレゼンし、採用となると晴れて撮影がスタートする。「最初にディレクター1人で撮影したロケハンの映像が、実は一番面白いんです。つくり手側にも素直な驚きがあるので。オンエアでも、この映像を使うことがよくあります」(石川氏)。ただ、身近な疑問の裏側を探るという番組の性質上、実際に取材を始めたらそれほど面白くなく、この時点でボツになってしまうケースも少なくないという。
取材が決定すると、潜入先の担当者との打ち合わせで、ネタになるようなことはないかを聞き取りながら取材を進める。ただ、広報担当者が「ここが面白い」と売り込んだところは、テレビ的には大して面白くなかった、ということはよくあることだそう。逆に、企業側にとっては「何が面白いの?」と思うことが格好のネタになることも。「企業側にとってはごく当たり前だと思っていることも、業界に関してよく知らない僕たちから見れば『こんなふうになっていたんだ』と驚くことは頻繁にあります」。
例えば、8月30日の放送で取り上げた、タンカーのつくり方。はじめは取材を受ける側も「なぜ取材に来るの?」と不思議そうだったというが、いざカメラを回すと、そのダイナミックさや、日本のものづくりの精神が結集しており、スタッフも心を動かされたという。「企業の担当者も入社した当初は、『事業の裏側ってこうなっているんだ』と驚いたことがあるはず。そういう感動を思い出してネタを探してくれるといいかもしれませんね」。
カギは“リスペクトできるか”
こうしたネタ選びのポイントは何なのか ...