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デジタル広報再入門 実践編

実例から学ぶ、PR視点で「機能する」企業コンテンツを開発する方法

梅田亮(大広)

同じPRネタでも、コンテンツ次第でネット上の注目度は大きく変わる。大広の梅田亮氏は、「施策の企画段階から、PR視点も入れておくべき」と指摘。コンテンツ開発から体制づくり、効果測定の考え方まで順を追って紹介する。

図1 コンテンツ開発の体制の考え方

コンテンツ開発の体制は、上記⑴〜⑷のどこまでを社内でカバーできているかによって決まる。⑷までカバーできるならすべて社内で可能(左)、⑶までなら社内のブランドマネージャーやプロデューサーが企画しコンテンツ制作やリリース配信などの実働のみ外部へ委託(中央)、⑵までならアイデア開発から外部と組む(右)、の3パターンが主な座組み。

まずは目的と体制を確認

近年、マーケティング・コミュニケーションを検討する際に扱うべき領域は、どんどん広がっています。私は広告会社サイドのプロデューサーとして、それらを統合して推進する機能を担っていますが、最近では特に「デジタル」「PR」「コンテンツ」といった言葉を聞かない日はないくらい、それらの領域が重要に、そして当たり前になってきた感があります。

私は広告やプロモーションのスタンスからPRに関与することが多く、本稿で扱う事例や内容もそれが軸になってはいますが、PRとして露出した結果は当然企業イメージにも影響してくることですので、是非ひとつの視点として普段の企業広報や商品・サービスのPR活動にも取り入れていただければと思います。

前提として、そのマーケティング施策に取り組む目的を明確にしておきましょう。それによって、施策全体におけるPRの位置づけも変わってきます。

例えば、「新機軸の商品なので、認知だけでなく、世の中の話題を喚起することで、営業支援にも結び付けたい」なら、施策の企画開発の当初からPR視点も入れておく必要があるでしょう。

関係組織の意識合わせも大切です。「話題化を狙った施策を推し進めていたら、途中で確認を入れた社内の他部署から大きな修正が入った」「『話題化』の解釈で自社と外部とで認識が違った」などの例も見られますので、事前の社内外含めた体制づくりも重要です。

チェック項目としては、
(1)目的や全体施策におけるPRの位置づけが明確か

(2)訴求内容がまとまっているか

(3)アイデアがあるか

(4)コンテンツ制作機能やPRプロモートの実施機能があるか

が挙げられるかと思います。どこまでを社内で担えるかによって、おのずとどんなパートナーと組むべきか、組むならどの段階から組むのかが見えてきます(図1)

    企業がコンテンツ開発を検討する際のポイント

    1. まず目的を明確にし、体制を考える内製か、どの段階から外部と組むのかも判断を
    2. ブランド×コンテクスト(文脈)⇒コンテンツ生成へ世間の「空気」を読むのは不可欠
    3. コンテンツは「多面体」として構築、複数の切り口をアイデアを肉付けする際、念頭に置くべき
    4. テクノロジーの進化でユーザー体験も豊かにどんなことを提供したいのか突き詰めるべし

外部と連携するならいつ?

社内の関係部署(宣伝部、広報部、商品開発部など)を巻き込んでおくのは当然として、広告会社や制作会社といった外部パートナーと組むのも選択肢のひとつです。例えば以下のようなポイントが、選択基準になると思います。

●PRコンテンツ制作、PR活動実施の経験があるか

●(PRと広告、プロモーションの両方を含む取り組みであれば)統合的な視点を持ったディレクター、プロデューサーがいるか

連携するタイミングですが ...

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