2015年末、10カ国の経済統合が控えるASEAN諸国。各国でSNSが普及しており、ビジネス拡大のためにデジタルを活用したPRに取り組む日本企業も少なくない。アジア事情に詳しい筆者が、現地のPR活動に潜むリスクを解説する。
2015年末、タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・ベトナム・フィリピン・ミャンマー・ラオス・カンボジア・ブルネイのASEAN10カ国が経済統合される。制度的には段階的に貿易、人材、金融などの統一化が図られていくが、マーケティング的にはEU(欧州経済共同体)の5億人を超えた「ASEAN」という国ができると考えてほしい。
今回、日本企業の皆さんに各国の特性を知ってほしいと図1を作成した。各国には歴史があり、消費者の価値行動につながっている。もちろんプロモーションにおいて消費者感情を知っておくのは基本だ。しかし日本と異なり多民族国家のASEAN諸国では国単一ではなく、主要民族について知っておく必要がある。そこで初めて、PRの基礎となる部分が考えられるからだ。
現地人と華僑、民族間の格差
ASEAN各市場を牛耳っているのは華人である。彼らは中国人と呼ばれることを嫌い、一族の今までの苦労を誇りに思っているためマレーシアン・チャイニーズやシンガポーリアンという呼称で呼ばなければならない。
もちろん、ベトナムも元々中国系であるがベトナム人である。しかし ...
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