官民一体のプロジェクトは今、企業PRに果たしてどのような影響をもたらすのか。シティプロモーション自治体等連絡協議会 理事、地域の観光振興アドバイザーなどを務めるJTBコーポレートセールスの門脇伊知郎氏が、企業と地域の連携による効果を解説する。
「公衆」との関係性見直しへ
「地域(地方自治体)と連携した取り組みができないか?」「地域貢献、地域の活性化に結びつく取り組みができないか?」─最近、クライアントとの打ち合わせの場でこのような言葉を頻繁に耳にする。
企業と地域の連携に注目が集まっている背景には、いわゆる社会の多様化、中でもインターネットの発達が影響していると考えられる。近年はスマートフォンの登場により電子情報媒体がパーソナル化しており、企業に求められる情報は深さを増している。
また、昨今の食品偽装や不正請求、粉飾決算などの企業不祥事のほとんどが、ネットで明らかとなり拡散してしまったものだ。株主や投資家だけではなく、社員やその家族、消費者、行政、その他団体など、企業を取り巻くすべてのステークホルダーに対し目を向け、企業活動の相互理解を求め、信頼関係を構築しなければならなくなった。
地域とは、企業におけるすべてのステークホルダーで構成された社会であり、そこを舞台に企業活動を行うことこそ、これらの課題の解決法なのかもしれない。おそらく、「PR(パブリックリレーションズ)」という考え方を、“公衆との関係性”という本来の意味として見直す時代が来ているのではないかと感じている。
地方分権改革が始まり
一方、企業が意識する地域(地方自治体)サイドにも ...