NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』で一躍、その名を知らしめた三陸鉄道。4月に全線開通を遂げたが、地域を、被災地を支援したい大手企業を巻き込み、三鉄が「次々と繰り出す企画力」を武器に、地元の課題解決に取り組んできた。

久慈市の「高校生海女クラブ」が道の駅「やませ土風館」にて海女ダンスを披露している様子。
県も「あまちゃん後」を意識
「じぇじぇじぇ」「え、ほんとにじぇじぇじぇって言っている」─。ある観光客が不思議そうに三鉄駅員のセリフを聞いて驚いていた。すでに人気の高い『花子とアン』が過熱している最中に、まだ「あまちゃん的イメージ」が続いている印象からだ。
一方、高齢の夫婦が「ここだ、この場所だよ」と言って、ドラマに登場した「北三陸市観光協会ビル」を指差し記念撮影をしている。『あまちゃん』放映中は、常にその状態にあったが、1年も経過するとさすがに「あまちゃんファン」は減ってきていると見るのが普通だが、ここ久慈市内においては、気分は放映中の延長上にまだあるのである。この不思議な現象はいつまで続くのか。
少なくとも久慈市民には、すぐそこに能年玲奈や小泉今日子がいるように時間が止まっていることは確かなようだ。市役所や三鉄駅舎、商店街のウインドーには未だに『あまちゃん』のポスターやグッズが並び、まだまだ冷める雰囲気はない。
岩手県商工労働観光部は、今年の観光キャンペーンのテーマを「その後のあまちゃん」として「あまちゃんブーム」の継続を狙った。広告会社のコンペの結果「じぇじぇじぇツアーズ」を提案した会社が選考された。消えかかっている炎にもう一度油を注ぎたいという意図が見えてくる。
実際、鮮明に残っていたはずの記憶も、徐々に薄れてきている感覚は否めない。それでもテレビCMで能年玲奈はじめ出演者が出てくると、すぐに『あまちゃん』と結びつける根強い県民意識がある。
もうひとつ面白い現象がある。人気を博したイベントなどがあると、必ず地方議員などから「ポスト○○」をどうするんだ、という声があがるが、こと『あまちゃん』に関しては未だに「ポストあまちゃん」ということは出てこない。それだけ「まだ途中」の感覚の中にあるのだろう。岩手県の達増拓也知事は「まさに不朽の名作」と評し、県民の声を代弁している。
取材・報道件数も右肩上がり
東日本大震災から3年が経過した今年4月 ...