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作家が危機対応をズバッと指南!

都議セクハラ野次事件の「情報拡散」の流れを総まとめ

城島明彦(作家・ジャーナリスト)

危機を乗り越えるための対応方法は、世間を賑わせる時事ニュースの中から学べる点が多くある。取材される側と取材する側の両方を経験し、広報業界を30年以上見続けてきた作家・ジャーナリストが、危機対応の本質について解説する。

塩村文夏都議によるTwitterでの告発
6月18日、塩村都議は自らのTwitterアカウントにて都議会での顛末をツイート。RT数は7月3日時点で3万3000件を超えた。その後、都議仲間によるブログ発信を経て各メディアが報道した。

議会傍聴は朝日と東京新聞のみ

6月18日に発生した「都議セクハラ野次事件」は、その10日後に放送されたTBSテレビ『新・情報7daysニュースキャスター』の「テレビを騒がせた 今週のニュースワードランキング」の2位に入った。1位サッカーW杯、3位『アナと雪の女王』と並ぶ国民的関心事だったのである。

本件は、ネット時代の情報発信方法、メディアの反応、情報拡散ルートなどに関する「危機管理」の教訓を残した。どのメディアも報じていないが当日、都議会を撮影していた放送局はTOKYO MX(都議会が委託)とNHKだけ。他局は事件が表面化した翌19日になって、慌てて録画映像の提供を都議会に申請した。その数、6件。一方、新聞社も、塩村議員の質問を傍聴していたのは朝日と東京新聞のみ。他社は現場にいなかった。それなのに、事件はあっという間に全国に広がった。野次を受けた塩村文夏都議がTwitterで「都議会での初の一般質問」と題して発信したからだ。

《妊娠、出産に関わる不妊など女性の悩みについて質問中に「お前が結婚しろ!」「産めないのか?」など、大変に女性として残念なヤジが飛びました。心ない野次の連続に涙目に。政策に対してのヤジは受けますが、悩んでる女性に対して言っていいとは思えないです。》

情報拡散の経緯と伝達スピード

「都議セクハラ野次事件」の拡散ルートは、次のとおりだ。

(1)被害者がTwitterでつぶやく

(2)都議仲間がブログで援軍

(3)一部の新聞が電子版で発信

(4)リツイート(転載)激増

(5)一部の新聞の朝刊記事を見て、テレビほかのメディアが一斉に動き出す。

詳しく書くと ...

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