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広報“私流”

阪大、専属のクリエイティブユニットでPR力を磨く

大阪大学 広報・社学連携オフィス 広報課広報係 主任 前田健一郎

研究成果のポータルサイト「ResOU」。研究分野ごとにタグをつけたほか、英語にも対応。

1931年創立、国立大のなかで学部生の数が日本一という大阪大学。その数はおよそ1万6000人に達し、大学院生や教職員、研究者を合わせると3万2000人もの規模となる。

そんな“マンモス大学”の広報活動における最大の特徴は、学内に専属のクリエイター組織「クリエイティブユニット」を持っていること。広報課の前田健一郎さんによれば、ユニットに所属するクリエイターはディレクターの教員、デザイナー、映像ディレクター、英文エディターなどを含む6人。元々は2008年に大学の公式サイトのデザインを統括する目的で設置された。「大学発の広報媒体のイメージを統一させるには全体を一貫してチェックできる組織が必要。大学のブランディングやターゲットに応じた情報を発信するためにも、制作物やロゴの統一感にはこだわっています」といい、オフィスも広報課と席を並べ、いつでも連携できる体制とした。

そんなユニットとの新たな取り組みのひとつが、大阪大学発の研究成果を集めたポータルサイト「ResOU(リソウ)」だ。2013年12月に開設したもので、研究成果を発表するプレスリリースの内容を抜粋する形で月に10本以上更新している。

最近のトピックスの例をあげると、「老化・がん化の原因となるDNA損傷が起こる仕組みが明らかに」「その名は『メチロー』エピジェネティクスを生きたまま可視化できるマウス作成」など、専門的な情報をわかりやすい見出しとデザインで伝えるよう工夫を凝らした。プレスリリースも同様で、専門用語や文字の羅列にならないよう配慮しつつ、噛み砕いて説明できるか。常に頭を悩ませている。

「研究成果を効果的に発信できている大学は決して多くありません。だからこそ、将来的に阪大の研究を支援してもらえる、さらには寄付などの財政基盤につながる可能性を持った広報活動は意味があるし、海外の大学や留学希望者にも注目してもらえれば」。

このほか一般向けの広報誌「大阪大学News Letter」を年4回、各2万部発行している。中には卒業生へのインタビュー企画もあり、この春の号では日本マイクロソフトの樋口泰行社長が登場。ちなみに阪大は手塚治虫さん、ソニー創業者の盛田昭夫さんといった著名人を多数輩出している。

今年阪大は、日本初の巨大ワニの全身骨格化石がキャンパス内で発掘されて50年という節目の年を迎える。これを記念し、ワニ博士という公式マスコットキャラクターを活用したPRも進めてきた。今後は阪大の知名度アップ、そして2031年の創立100周年に向けて、研究力や教育力などを高めて世界トップ10の大学に名を連ねるのを目標としている。

4月26日、読売新聞に掲載した広告も学内で制作。

大阪大学 広報・社学連携オフィス 広報課広報係 主任
前田健一郎氏(まえだ・けんいちろう)

2004年関西学院大学法学部卒、同年大阪大学の職員に。部局の総務担当を経験し、10年から総長の直轄組織、経営企画課を経て、14年1月から現職。休日は、2歳の息子に野菜を隠した具沢山ホットケーキを焼くのが習慣。

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