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統合報告から見える新しい広報のかたち

統合報告書の作成プロセスとは?

金田晃一(武田薬品工業)

IR情報やCSR報告などの経営情報を整理し発信する「統合報告」という考え方が徐々に日本企業にも広がり始めている。その背景や企業への影響、今後についてレポートする。

機能横断的な作成プロジェクトにより、社内の様々な情報を総ス合トーリー化して開示できる。

発行してわかる統合化の意味

武田薬品工業(以下、タケダ)は、2006年から統合報告書を発行しています。当時は、IIRC(国際統合報告評議会)も存在せず、内発的に統合化の道を歩み始めました。今回はタケダの統合報告書について、作成の背景やプロセスについてご紹介します。

下図のとおり、タケダでは2005年当時、「アニュアルレポート」と「CSR報告書」を別々に発行していました。しかし、両報告書を見比べてみると、記載内容に重複が多いことに気づきました。そこで、株主・投資家を中心としながらも幅広いステークホルダーに向けて、“共通の重要な企業情報”を発信することができないかを模索する中で、One Report方式での統合報告書の発行が決まりました。

たとえ社内で統合報告書に関する機運が高まったとしても、関連部署間の連携体制が整っていなければ、物理的に発行はできません。タケダでは、コーポレート・コミュニケーション部(CC部)が統合報告書を発行しています。この部にはPR、ER、IR、CSRの各チームがあり、毎年、各チームから数人が指名され、統合報告書の作成プロジェクトが組織されます。各チームの機能が統合された横断的なプロジェクトチームが主体となることで、社内の様々な情報を有機的に結合した形で開示することが可能となりました。

また、作成する報告書の数が減ることで ...

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